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2008年度横浜市教育予算編成に関する要求書

2008年度の横浜市教育予算に関する要求書(主に教職員要求に関わるもの)を12月26日に横浜市長、横浜市教育委員会教育長へ提出しました。

                      2007年12月26日 
横浜市市長                      
       中田 宏 様
横浜市教育委員会
 
教育長 押尾 賢一 
             
憲法・子どもの権利条約に基づいた
2008年度横浜市教育予算編成に関する要求書
 は じ め に
 
 日頃の横浜市の教育に対する貴職の取り組みに敬意を称します。
 基本的人権・恒久的平和主義・国民主権を宣言した日本国憲法を施行して、60年を迎えました。大日本帝国憲法と違って、この憲法では教育を権利として位置づけ(憲法第26条)て、今日に至っています。
 日本の教育は、憲法・子どもの権利条約を根幹にして行われるべきものです。教育は、子どもたちにとって権利です。「子どもの権利条約」では、子どもを権利主体として認め、その上にたって子どもに「最善の利益」をもたらす教育をすべきだとしています。したがって、教育行政はその実現のために、教育条件を整備し、子どもを主人公とした学校教育の実現、たとえば、30人以下学級のために努力すべきです。教職員への人事評価制度の導入、二期制、公立高校の募集定員の削減、高校選抜での学区はずしなど、子どもたちを苦しめています。
 私たち横浜教職員の会は、日頃より子ども・教育のために教育活動に専念し、大きな努力を払っている教職員の組織として、教育の論理にしたがって横浜の子どもたちすべてが、人間として生き生きと生活ができるように、私たち教職員の諸条件解決のため、教育予算の増額を要求するものです。
 
 
   
 
 
1)憲法・子どもの権利条約の実現の要求
 
@基本的人権・国民主権を明記した憲法と子どもの権利条約に基づいて、横浜市の教育施策を進める こと。
 
A「国旗・国歌法」の審議の過程で、「国民生活に何の影響をもたらすものでないこと」、「教職員の職務に変更を加えるものでないこと」を明らかに確認しています。したがって、憲法第11条( 基本的人権の享有)、第19条(思想・良心の自由)、第20条(信教の自由・政教分離)に基づいて、「国旗・国歌」問題を考えるべきで、学習指導要領に基づいて、入学式・卒業式での「国旗・国歌」の扱いを強制しないこと。思想・良心の自由、個人の内心の自由に立ち入らないことを明言し、教育指導の名をかりて教職員に「国旗・国歌」を強制しないこと。
 
 
2)30人以下学級実現に努めること。教育活動の保障のため教職員の配置に努力をすること
 
@義務教育国庫負担制度を国の責任として堅持するよう、横浜市教委として繰り返し国に要求すること。
  また、学校事務職員・学校栄養職員にも引き続き適用させるよう、国に要請すること。
A30人以下学級実現を緊急課題として、教職員定数の配当基準を大幅に改善をするように、県・国に要請すること。
 
B横浜市では、ここ数年、欠員のための定数内臨時的任用職員が年々増加してきている。これは異常事態というべきです。この問題を解決するために、中途退職者を出さないように働きやすい学校にするとともに
 ?必要な教職員数をきちんと採用すること。
 ?定数内臨時的任用職員の数を100名以下におさえること。
 ?学級数確定期には各学校長の報告を尊重し、子どもの減があったとしても、市教委が責任をもって、 学校長の報告の学級数で教職員を配当すること。
 
C2004年度から可能になった学校、市教育委員会の判断による学級編成の弾力化の実施校に子どもの教育環境を維持するために、横浜市の独自予算で、非常勤講師を配置すること。
 
D2005年度から研究指定校方式により、35人以下学級が小学校1、2年生、中学校1年生で実施されている実情に関連して、教職員の負担を軽減するために、市予算で実施校全校に非常勤講師を配置すること。
 
E「いじめ」「不登校」など、子どもたちの悩みなどに応えるため、すべての学校に複数の養護教諭を配置するよう、強く県教委に要請すること。県が配置しない場合でも、市教委の責任で実施し、困難な学校から順次配当していくこと。
 
F子どもたちの悩みに応えるため、すべての小学校にも学校にカウンセラーを配置し、小・中学校のカウンセラーの勤務日数をふやすこと。また、相談室を相談しやすい場にふさわしく整備すること
 
G12学級以上のすべての学校に学校事務職員を複数配置すること。
 
H小学校の小規模校に配置している補助員を、11学級以下の条件を改定し、学年に関係なく単学年のある学校には、12学級以上の学校にも配置できるようにすること。
 
I2003年度に新設されたスクールサポート事業を拡大し、小学校1年生に対して35人以上の学級のある全学校に、スクールサポート事業による職員を配置すること。
 
Jサポート事業による派遣を9月からというのを改め、学年初めの4月以降、いつでも学校側からの要請により配置できるようにすること。特に、新1年生の場合は、最初が大事でであり、また大変な状況であることを考えて、特別な配慮をしていくこと。
 
K学校図書館への司書教諭の配置を専任の司書教諭で行うこと。専任の司書教諭の配置が学校教育に大きな力を発揮していることは、文部科学省の研究等も含めて明らかになっていることを考え、国がそれを実行するまでの間、市の責任で司書教諭を定数外として配置をすること。
 
 
3)障がい児の教育ための教職員の配置に努力すること
 
@個別支援学級・通級指導教室の担当教員の異動に当たっては、専門性、指導の継続性に配慮すること。
 
A通常学級に障がい児が在籍した場合には、その障がいの実態に応じて、横浜市の責任で新たに教員を加配すること。その実現までの間、横浜市の責任で非常勤講師を確保し、配当すること。
 
B通常学級に配置されている生活支援員の日数を増やすこと。
 
4)教職員の職務を吟味し、過重な負担をなくすこと
 
@夏期プール指導開始直前のプール清掃について、業者に委託すること。安全管理は清掃終了後に教職員がおこなうこと。
 
A宿泊行事については市費による医療従事者を配置し、引率教員のもとで、子どもの病気・ケガなどで、医療機関とすばやく連絡をとるなど、子どもの健康と安全を守るようにすること。引率教員は他の児童・生徒の指導に多忙であり、それに専念するために、専門家(医師・看護師)が病院等と適切な連絡をとることは欠かせないものだという認識が市教委に必要です。養護教諭は、児童・生徒の多く残っている学校で子どもたちの健康と安全を守ることに専念できるようにすること。
 
B出張旅費の増額を県に強く要求すること。市教委主催の研修会等は必要に応じて市で旅費を負担すること。
 
C学校栄養職員を他市町村と同様に市費職員を含め、各校に専任で1名ずつ配置し、学校栄養職員1名による2校勤務を中止すること。
 
 
5)教職員が健康で生き生きと教育活動に専念できるように条件を整備すること。
 
 A)教職員の賃金・勤務時間等の問題
 
@臨時的任用教職員や非常勤講師の賃金等労働条件を改善すること。
 月途中採用でも通勤手当などは支給するよう、県に強く要求すること。県が支払わない場合は、市 が責任をもって支払うこと。
 
A臨時的任用教職員や非常勤講師の賃金等については、職員の立場にたって不利益を受けないようにすること。
 
B教職員の勤務時間については、労働基準法どおり、原則として、昼の休憩時間がとれるようにすること。
 
C臨時的任用教職員や非常勤講師の採用にあたっては、労働条件(勤務時間、休憩時間、休暇、給与など)を文書で明示すること。
 
D教職員の勤務実態(長時間勤務など)については、昨年度行った文部科学省の調査では、横浜市でも過労死ラインすれすれの勤務実態が明らかになった。
 過労ラインすれすれの勤務実態を解消するために、人的配置を行うなど、勤務条件を改善すること。
 
E教職員が休憩時間に休憩がきちんと取れるような施設・設備を、各学校に整備すること。
 
F教職員には、教材研究や授業に必要な準備のために膨大な時間を必要です。その時間も本来、勤務時間となっています。したがって、横浜市教育委員会は、教職員が教材研究等の研究時間を勤務時間内に確保するための措置をとること。それができない時は、別途、その時間を保障する措置をする必要があり、その方策を検討すること。
 
G測定可能な超過勤務に対しては、労働基準法36、37条の適用を復活させ、時間外手当の支給をすること。法的に不可能な場合は、別途支給できる方法を検討すること。
 
H教職員の休日にあたる土曜、日曜、祝日の部活動については、県予算より特殊勤務手当が一部支給されていますが、その増額を県に働きかけると同時に社会的妥当な金額を市費で補充して支給すること。当面、公式戦等の引率には、少なくとも1時間につき1000円の謝金を支給すること。こうした教職員の奉仕の実態について、機会あるごとに市民に訴え、問題を喚起すること。
 
I修学旅行など宿泊行事の引率は、特殊勤務手当が支給されていますが、全日勤務になる業務としては社会的に妥当性を欠いているので、その増額を県に要請すること。また、増額されるまで、補充の謝金を市費で支給する方法を検討すること。
 
J小学校の宿泊行事には、教職員数の不足から他学年から応援の教職員が参加することが常態となっています。そのため応援教職員の学級が結果的に自習時間が多くなったり、教職員が回復措置をとりづらい状況になっています。このように子ども・教職員に負担をかけないように、行事には市教委の責任で指導員を必ずつけて解決すること。
 
B)子どもたちを主人公に!
                  のための人事の民主化を。
 
@毎年数千人の教職員の異動人事があるという異常な状態があります。教職員の人事異動は学校組織の活性化にならず、停滞さえ起こっています。それは、1校の在任期間を6年を最高としているためで、平均4〜5年で異動するということになり、横浜市の教職員は4年間でほぼ全員が異動するという状況をつくりだしています。このことは、「開かれた学校」を口では言いながら、実際は、行政が学校を地域から切り離し、地域に開かれた学校になりにくい状況をつくりだしています。人事異動をすれば学校が活性化するという単純な考え方を排して、異動人事について抜本的な方針の転換を求めます。行政的な判断ではなく、教育学的な判断を重視し、人事異動について、1校の勤務年数を長期間にすることを原則に、次のことを検討すること。
 ?教職員の意見を最大限生かすこと。
 ?同一校勤務を最大15年前後とすること。(初任者は初任校を6年以内とし、いくつかの学校を経 験すること)
 ?学区内、同区内等の異動は本人の希望によって可能とすること。
 ?通勤時間を1時間以内になるようにすること。
 ?54歳以上の教職員には、希望に基づき現任校に勤務することを認め、異動を強要しないこと。(勤務年数に関係ないこととする)
 
A異動については、教職員が次年度の教育活動の準備を保障するため、第一次紹介を2月初旬とし、3月上旬には原則的に終了させること。
 
B人事異動に関して、転任希望カードには教職員は3区までを指定できるものとすること。ただし、障がい児学校の教職員は3校を指定できるものとすること。
 
C校長の在任期間も非常に短く、3年以下になっています。教育は命令で行なわれるものではなく、各教職員の協同の力で行なわれるものなので、教職員を組織できるすぐれた見識のある校長を10年前後在任させること。
 
D現在の副校長の勤務実態は午前7時前後から午後7時以上というのが常態という長時間勤務になっています。出張の多い校長の職務を代行していることもあり、その無権利状態は甚だしいものがあります。このような無権利状態では、教職員・子どもの人権・権利についての意識が弱まります。校長は、出張を極力少なくし、校長としての本務を遂行し、副校長の仕事の軽減をはかる必要があります。そして、副校長は、授業をもつなど、子どもたちとの関係を深め、教育的力量・識見を発揮して、校長とともに校内における教職員との協力・協同の中心として学校づくりを進め、各校の教育の向上に寄与すべきです。その立場から副校長の勤務実態を調査し、副校長の人権の保障と健康の保持のために、勤務時間の短縮をはかること。副校長の人権・権利、健康を保障すること。
 
E各校での研修のための予算を新しく位置づけ、活性化のためにも各校に学校裁量で支出できる研修活動費(研修会講師料・資料収集等の旅費等)を配当し、教職員が有効な研修ができるようにすること。市長部局に教育は金がかかるものだという認識の変更を迫るような、積極的な予算要求をすること。
 
F教職員の研修権を認め、時間、場所、内容などについて、本人の意思を尊重し、簡単な報告書の提出だけにし、長期休業中の研修の自由を認めること。
 
G年金制度の改変によって、年金が定年退職後全額直ちに支給されない現在、退職者に対して行っている再任用、再就職の紹介等を退職者全員に平等に知らせ、退職者の生活の保障をすること。
 再任用を希望する者は、すべて再任用すること。
 
C)教職員が健康で元気に教育活動に参加できる
         ように、教職員の健康と安全を守ること。
 
@横浜市教育委員会は、教職員の健康と安全を守る立場から、労働安全衛生法に基づいた要綱をつくりました。それを実のあるものとするために、各学校における衛生委員会の活動が期待されます。衛生委員会の望ましい活動のために、だれもが衛生管理者になれるように、その資格をとれるための研修講座を設け、拡充すること。
 
A労働安全衛生法に基づいて、各校衛生委員会に産業医を配置すること。少なくとも、各区に1名を配置できる程度の人数の産業医を配置すること。また、それまでの間、横浜市立学校職員衛生委員会の産業医を各校を巡回させ、各校の衛生委員会と懇談し、意見の聴取をすること。また、産業医が独自に各校の実態を調査するよう要請すること。その報告書を公表し、市教委の責任を明確にすること。
 
B労働安全衛生法に基づいた教職員の健康管理の充実を急ぐこと。検診項目に、超音波による検査、腰痛、更年期障害、嗄声の検査などを加えること。また、女子職員には子宮体ガンの検診を加えること。
 
C教職員が全員、期間内に健康診断を受けられるように条件整備をすること。また、未実施がないように、点検を確実にすること。また、検診等の内容や病院側の受け入れ態勢等について、教職員の要望を調査して、その改善をはかること。
 
D妊娠時授業軽減措置の代替を対象者1名につき1名を配置すること。盲・ろう・養護など特別支援学校についてはその職務の実態に応じた時間数を拡大すること。県が措置するまでの間、市の責任で配置すること。
 
E永年勤続者のリフレッシュ休暇について、永年勤続者職免に加えて、県の「リフレッシュ休暇実施要領準則」を適用させること。また、必ず代替者を配置し、安心してリフレッシュできるようにすること。取得期間を1年間とし、余裕をもってとれるように至急改善すること。
 
F退職者の辞令交付式において、退職者を「さん」の敬称をつけて呼ぶこと。辞令交付式が時代遅れで、人権意識のない大時代がかったものであったことを改め、退職者の意向を考慮し、退職者中心の辞令交付式にあり方を変更すること。
 
D)人権と生き生きした教育活動を保障するため
        に、管理主義的な教職員管理をやめること。
 
@人事評価制度、指導力不足教員認定制度は、公平性・透明性・納得性が得られていないので、再検 討・改善をはかること。また、これらを人事・処遇にリンクさせないこと。
 
A昇給、勤勉手当に、人材育成を基本とした人事評価を利用した「成績率」の導入を行わないこと。
 
Bセクシャルハラスメント、パワーハラスメントに厳しく対応すること。特に初任者、若年者に「研修」名目で無理な要求(クラス・授業を持っている者に日程的に無理なレポート提出の強要、講師が罵声を浴びせるなどのパワーハラスメント)が行われないように、指導すること。
 
A教職員の管理体制につながる学校管理規則を撤廃すること。
 
B教職員の啓発は職場の民主的な関係の中で、相互の自由な討議によってなされるべきであり、各職場での教職員の連帯と協力・共同の感情を否定することにつながるような条件を排除することが行政の第一任務です。横浜市の子どもたちのために、子どもたちが瞳を輝かせるような、教職員の教育条件、勤務環境をつくりだすことを要望します。
 
C人事評価制度を極力押さえて、管理主義的な職場管理を止めて、実質的に教職員が横並びに協力できる態勢をつくりだすようにすること。校長のリーダーシップはこの態勢づくりに発揮されるべきこと。
 
6)横浜教職員の会と職員団体として認め、交渉を行うこと。
 
 私たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」は、地方公務員法第52条による「勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体」としての職員団体です。ただ第53条に基づく「職員団体としての登録」を行っていないだけです。また、地方公務員法第55条11項は職員各人に「不満や意見の表明」が保障されています。その適用は各個人の団体に対しても登録しているか否とにかかわらずできるというのが法解釈にかなっているものです
 
@横浜教職員の会と、横浜市教育委員会と交渉の場を持つようにすること。そのために、私たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」の、この要求書について、予備折衝により、いつ、どこで、主として何について、どのような形式で話し合うのかについて両者で話し合って決めること。
A「未登録の職員団体」について、雇用者として、どう対応するのか、見解を明らかにすること。
 
B職員個人の「不満や意見の表明」に対して、雇用者として、どう対応するのか、見解を明らかにすること。

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