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 2005年度の横浜市教育予算に関する要求書を2004年10月13日に横浜市長、横浜市教育委員会教育長へ提出しました。
なお、昨年度の要求と回答につきましては、20003年度の要求書と回答をご覧ください。

                  
                                          2004年10月13日

横浜市長     中田 宏 様
横浜市教育委員会 教育長 伯井 美徳 様


                      子ども・教育・くらしを守る         横浜教職員の会                

憲法・教育基本法・子どもの権利条約 に基づいた

2005年度 横浜市教育予算編成に関する要求書


             は じ め に
横浜市の責任を明確にした教育予算の実現を 戦後、日本は歴史上初めて、基本的人権を明記し、国民主権・戦争放棄を宣言した日本国憲法をもちました。
 そのもとで教育基本法が制定され、「人格の完成」を目的とし、「平和的な国家及び社会の形成者」とする国民の育成を主眼とし、子どもたちを権利の主体者として教育を享受するという、子どもを主人公にする教育が規定されました。それは、戦前の文部省・内務省の統制による国家主義的な教育を否定し、行政は、新しい民主主義教育の実現のための教育条件(人的・物的諸条件)整備がその役割となり、県及び各市町村教育委員会はそのことに力を注ぐことになりました。
 しかし、この50年間、自民党を中心とした政府とそれにつながる財界などの一部勢力は、憲法・教育基本法をないがしろにし、教育行政は教育条件の整備を怠り、学校教育を競争と選別の場にすることで、制度的にも内容的にも子どもたちを苦しめてきました。また、地方教育行政は、文部省に従属させられ、中央集権的な教育を推進する役目を押しつけられてきました。これは民主教育を求める市民の願いに反するものです。最近では、新自由主義に基づく、「自己責任」論、「規制緩和」、「効率主義」などにより、『義務教育国庫負担』をもなくそうとしています。これは、日本の子どもたちを平等・公平で、高い水準の教育の維持のため、明治時代から追及し、確立してきた制度です。

 国際的にみるならば、現在の日本の教育の主流になっている競争主義教育などについては、「子どもの権利条約」に関連した国連への政府報告について、第一回でも、第二回でも、国連の「子どもの権利委員会」で厳しく批判されています。
 したがって、現代の教育は、憲法・教育基本法・子どもの権利条約を根幹にして行われるべきものです。その「子どもの権利条約」のもっとも大事なことは、子どもを権利主体として認め、その上にたって、子どもに「最善の利益」をもたらす教育を用意することです。教育行政はその実現のためにあり、教育条件を整備し、子どもを主人公とした学校教育の実現のために努力すべきです。これは、教育基本法第10条の内容です。
 学校完全五日制の実施と新学習指導要領の本格実施、教職員への人事評価制度の導入、二期制の実施、高校選抜での学区はずしなど、学校教育の矛盾は激化しています。子どもも教職員も「ゆとり」のない、多忙な毎日を送っています。こうした中で、不登校の児童・生徒問題、暴力・いじめ問題なども解決されないでいます。その解決のための第一は、子どもも保護者も教職員も強く望んでいる30人以下学級の実現です。
 私たち横浜教職員の会は、日頃より子ども・教育のために教育活動に専念し、大きな努力を払っている教職員の組織として、以上の教育の基本にたって、いかなる政治権力の教育への介入を排除し、教育の論理にしたがって横浜の子どもたちすべてが、人間として生き生きと生活ができるように、以下の各項目・内容の実現を求め、教育予算を大幅に増額することを要求するものです。



         要求項目


1)憲法・教育基本法・子どもの権利条約の実現の要求

@基本的人権・国民主権を明記した憲法とそれに基づく、人格の育成とそのための教育条 件整備の行政の責任を明確にしている教育基本法に基づいて、横浜市の教育施策を進め ること。
A「国旗・国歌」法の審議の過程で明確になっている、この法律が個人の内面の自由に立 ち入らないという内容を守って、学校行事における「日の丸・君が代」を子ども・保護 者・教職員に強制しないこと。
B現在、政府、与党が進めようとしている教育基本法「改正」反対の意向を強く表明する こと。
C教育基本法第10条に基づいて教育条件を整備する立場を堅持すること。
D国際的な条約であり、政府が批准した「子どもの権利条約」を市民に徹底すること。そ のため、市民向け解説パンフレットなどをつくり、地方自治体の責任をはたすこと。
E児童・生徒用子どもの権利条約解説パンフの改訂版を早急につくり、教職員の指導のた めの解説パンフを作成すること。
F教育関係者に子どもの権利条約を徹底するため、保育園保育士、学童保育の指導者など のために子どもの権利条約解説パンフを作成して配布すること。
G子どもの権利条約に基づいた施策の実現のため、「子ども課」(仮称)を設置し、乳幼 児から高校生までの子どものための総合的政策を策定し、施設・設備の設置と人的配置 などを実現すること。
H次世代育成支援対策推進計画の策定にあたつては、私たち教育組織にも意見を求め、市 民的な合意を得る努力をすること。その際、大企業などの責任を明らかにし、保護者の 長時間労働を規制し、就労の保障、賃金の保障などにより、子育てに保護者がしっかり の関われるような内容のものを必ず記述すること。
I子どもの権利条約を基にした「横浜子ども権利条例」(仮称)を策定し、子どもの権利 の尊重を市民に呼びかけること。
Jピースメッセンジャー都市協会の副会長都市として、積極的に平和への願いを横浜市か ら国の内外に発信すること。また、2001年度総会の横浜アピール全文を市民に紹介 すること。そのために市のホームページに掲載するだけでなく、印刷物として全市施設 に置いておくこと。
K市民に平和の大切さをアピールするため、横浜大空襲の5月29日を「横浜平和の日」 として制定し、憲法に基づいた平和主義に基づき平和を発信できる子どもに育つよう、 平和教育を重視すること。
Lピースメッセンジャー都市の目にみえる活動として、横浜市内各地に残っている戦争遺 跡を文化庁の指定にかかわりなく保存し、表示板を設置すること。また、平和のための 戦争遺跡マップを作成し、児童・生徒の学習に役立てるように配布すること。
Mピースメッセンジャー都市として、平和を発信する平和ミュージアムを建設し、市民へ の平和の訴えをすると同時に、国の内外への平和を発信するセンターにすること。当面 は、横浜都市発展記念館内平和のためのコーナーを設け、平和のための諸物品・資料の 展示・保存・収集すること。また、平和教育のための資料の貸し出し、提供をして、学 校における平和教育の一層の充実に努力すること。
N1984年10月2日に市議会で決議した「横浜市非核兵器平和都市宣言」の20周年 を期して、市庁舎の近いところに、この宣言の石碑を設置し、同時に関内駅前にそのこ とを知らせる大看板を設置し、また公報などを通じて市民に平和の重要性を知らせるこ と。小・中学校の児童・生徒にもこの宣言のもつ意味を伝えること。
O横浜市教育委員会の会議の公開性を高めるため、市民に傍聴を呼びかけること。そのた めに会議場を広くし、会議議案書と関連資料を傍聴者に配布すること。また協議内容を 傍聴者(市民)に十分に聞こえるようにマイクを使用すること。
P私たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」は、登録された団体ではありま せんが、教育公務員の職員の団体ですので、法の正しい解釈に基づき、横浜市教育委員 会と交渉の場を持つようにすること。そのために、私たち「子ども・教育・くらしを守 る横浜教職員の会」の、この要求書について、予備折衝も含めて、いつ、どこで、主と して何について、どのような形式で話し合うのか、について両者で話し合って決めるこ と。(地方公務員法第55条によるものであり、その11項は職員各人に適用が保障さ れているもので、その適用は各個人の団体に対しても登録しているか否とにかかわらず できるという解釈が、この法解釈にかなっているものです)


2)30人以下学級実現の努力をすること

@義務教育国庫負担制度を国の責任として堅持するよう、横浜市教委として繰り返し要請 し、他の自治体と共同して、国に要求すること。
A上記@により、学校事務職員・学校栄養職員の給与の国庫負担制度の堅持し、削減に反 対すること。
B30人以下学級実現を緊急課題として、教職員定数の配当基準を大幅に改善をするよう に、現行の「第7次公立義務教育諸学校教職員配当改善計画」を早期に切り上げ、「第 8次改善計画」をすみやかに策定するよう、国に要請すること。
C第6次、第7次改善計画による、TT、少人数授業担当教員の各校での役割について規 制をゆるめ、各校の教育活動の自主的な運用にまかせること。今回、小学校1年生の3 5人学級の一部実現を、この方式によって実現させましたが、この方式を定着させ、2 年生でも実現するための教員の増員をはかること。
D今回の法改正に基づき、30人以下学級の実現のため、横浜市として教職員の採用が可 能になったことを受けて、横浜市の予算に基づいて教職員を配置すること。
E現在、6年生については、児童数が減少しても県予算で前年度と同数の学級でよいこと になっています。この施策は、子どもたちに安心感を与えるすぐれたものです。この施 策をどの学年の子どもにも適用して、安心して学校生活が送れるように、すべての学年 で学級数を減らさなくてもいいように、神奈川県に強くその実現を迫ること。
F横浜市では、2004年度の定数内の欠員の臨時的任用職員が496名であり、昨年度 の倍以上の人数です。04年度予算要求への回答で述べている「ある程度の臨時的任用 職員は必要」という数とはいえません。学校によっては2〜3名の臨時的任用職員が配 置されていることもあり、これは異常事態です。こうしたことは、学級数の把握を教育 の目線ではなく、管理の目線でみている結果であり、失政といえるものです。学級数確 定期には各学校長とよく相談して学級数を想定し、児童・生徒減による学級数の減があ っても市教委が責任をもって対処すること表明し、学校長の報告の学級数で教職員を配 当すること。04年5月1日統計において、41名の学級があるのは、子どもの数を内 輪に見積もった結果であり、05年度以降41名以上の学級をつくらないこと。そのた めの臨時的任用職員の配置を極力避け、その数を100名以下におさえること。
G臨時的任用職員(教員)が前記Fのように多いため、学年途中での臨時的任用職員や非 常勤講師の配置が難しい状況があります。子どもたちに担当者がいないという状況をつ くらないように、横浜市としてすぐに配置できる体制をとっておくこと。
H学年途中の児童・生徒増による学級増にしないことを、保護者のアンケートなどによっ て、学級増を押さえ込んでいます。これは不法な措置です。県教委に教職員を配置する よう、市教委は強力に要請すること。
I養護教諭(04年度臨時的任用職員19名)、学校事務職員(34名)の数は少なく把 握しやすいにもかかわらず、臨時的任用職員が昨年度より増加していることは納得でき ません。完全になくすために努力すること。
J「いじめ」「不登校」など、子どもたちの悩みなどに応えるため、すべての学校に複数 の養護教諭の配置を強く県教委に要請すること。県が配置しない場合でも、市教委の責 任で実施し、困難な学校から順次配当していくこと。
K子どもたちの悩みに応えるため、すべての小学校にも学校にカウンセラーを配置し、小 ・中学校のカウンセラーの勤務日数をふやすこと。同時に保健相談室を設置し、いつで も子どもの相談に応えられる態勢をつくっておくこと。
L12学級以上のすべての学校に学校事務職員を複数配置すること。
M小学校専科教員を各校にあと1名配置するために、横浜市教育委員会として非常勤講師 を採用すること。
N小学校の小規模校に配置している補助員を、11学級以下の条件を改定し、学年に関係 なく単学年のある学校には、12学級以上の学校にも配置できるようにすること。
O2003年度に新設された新入生サポート事業は、今までの私たちの要求を実現させた ものとして評価できます。05年度に向けては、予算を増額して、小学校1年生に対し て35人以上の学級のある全学校に、新入生サポート事業として非常勤講師を派遣する こと。
P学校図書館への司書教諭の配置を専任の司書教諭で行うこと。国がそれを実行しないと きは、市の責任で司書教諭を定数外として配置をすること。専任の司書教諭の配置が学 校教育に大きな力を発揮していることは、文部科学省の研究等も含めて明らかになって います。


3)障害児の教育の充実と卒業後の生活の保障を充実すること

A<障害児学校に関すること>
@養護学校の大規模化解消と地域性のある学校づくりをすすめること。横浜市の南部方面 に、小・中・高等部をもつ肢体不自由養護学校を新設すること。
A横浜北部方面・横浜西部方面に、小・中・高等部を持つ知的障害養護学校を新設するこ と。それまでの間、現在ある知的障害養護学校の分校を設置し、早急に大規模化の解消 に努めること。
B重度重複障害児の教育を更に保障するため、上菅田養護学校高等部の4つの分教室を、 それぞれ中村養護学校の高等部、北綱島養護学校の高等部、新治養護学校の高等部、東 俣野養護学校の高等部に早急に移行すること。
C養護学校小・中学部の教員不足の実態について調査し、必要に応じて教員を加配するこ と。
D養護学校に配置されている委託介助員の介助範囲を拡大し、校外指導等にも付き添える ようにすること。また、その待遇を改善すること。

B<個別支援学級・通級指導教室に関すること>

@障害児の教育を保障するために、個別支援学級を継続して廃止しないこと。
ALD、AD/HD、高機能自閉症などの子ども達の教育を保障するため、新に教員を配 置すること。
B個別支援学級の学級規模を6名以下として、1学級2名の教員を配当すること。また、 小学校での学級編制については、低学年・高学年などの2学級以上の編制とすること。 以上を国及び県に強く働きかけること。それまでの間、横浜市として、それに見合う教 員を配置すること。
C個別支援学級に、重度重複障害児が在籍した場合には、横浜市の責任で新に教員を加配 すること。
D個別支援学級を新規に開設する場合、施設設備費、備品費、消耗品費等の予算を十分に 配当すること。
E個別支援学級・通級指導教室の担当教員の異動に当たっては、専門性、指導の継続性に 配慮すること。

C<通常学級に在籍する障害児の教育に関すること>

@通常学級に障害児が在籍した場合には、その障害の実態に応じて、横浜市の責任で新に 教員を加配すること。その実現までの間、横浜市の責任で非常勤講師を確保し、配当す ること。
A通常学級に配置されている生活支援員の日数を増やすこと。また、学校ごとに確保する のでは緊急の場合には対応できないので、市教委の責任で確保すること。

D<障害児の地域生活に関すること>

@障害児の豊かな放課後を保障するため、学童保育やはまっ子ふれあいスクールで障害児 を受け入れる場合は、指導員の加配を行うこと。
A障害の重たい子の豊かな放課後を保障するための、それに対応する施設・設備、人的配 置等を公的に保障すること。障害児専用の学童保育的事業に対しても横浜市独自で補助 金制度を設けること。
B障害児が、放課後や休日に地域の施設や地区センターを利用できるように、介助のため の人員の配置を行うこと。
C障害児の宿泊行事としても利用できるように各施設を改善すること。利用頻度の高い「 三浦ふれあいの家」は車イスの使用にも対応できるように改築または改修するように引 き続き県に働きかけること。県の回答をお知らせください。
D登下校中の災害に際して、障害児が安全に避難できるような対策を講じること。
E災害時に避難所での障害児とその家族が安心して避難生活が送れるような対策を講じる こと。

E<障害者の雇用に関すること>

@横浜市自身が障害者雇用を積極的に進め、一般企業にも雇用の促進を指導すること。
A横浜市の責任で視覚障害者をヘルスキーパーとして雇用し、横浜市職員の腰痛予防のた めに配置すること。教職員や給食調理員、技術員等が福利・厚生利用として利用できる ように学校巡回を実施すること。


4)施設・設備の改善、父母負担の軽減をはかること。

@新設校及び建替え期にある校舎については、「子ども達の未来を拓く学校施設−地域の 風がいきかう学校」(学校五日制時代の公立学校施設に関する調査研究協力者会議報告 文部省教育助成局 平成11年7月)に基づき、教職員、地域、子とも達の声を反映さ せ、特に子どもの目線で考えるために子どもの意見を聴取し、その意見を反映させた校 舎の改善・建設をすること。
A児童数の増加によって、一部の学校で大規模化が進み、校舎不足からプレハブ校舎での 授業を止むを得ずやっています。学区内に学校用地が確保されている場合には学校を新 設するなど大規模校を解消し、子どもの立場に立って学校規模の適正化を急ぐこと。
B子どものシック症状対策として、施設・設備の全面的な点検と改修を行うこと。
C校舎の新築・改築に際しては、文房具等の大型化に合わせて基準を変えていくこと。
D新JIS規格の児童・生徒用机・椅子の整備を5カ年計画で実施すること。
E学校運営費を大幅に増額して、教育活動を豊かなものにしていくこと。
F学校の特色づくり推進費などの前途金制度については、学校の実態にあわせて活用でき るように弾力化をはかるとともに事務手続きを簡素化すること。
G夏のプール指導開始直前のプール清掃について、2004年度要求に対する回答で「教 育指導上の必要性」を述べていますが、学校現場の実情や教育課程に基づく教育の活動 を理解しない回答といわざるを得ません。開始直前のプールは一年間の汚れのたまった ものです。近年では児童に清掃させないようになっています。けが等の責任はだれがと るのでしょうか。また、教職員の本務からもはずれています。教職員の指導上の安全管 理の必要も、業者の清掃後に十分にできるもので、それの方が合理的です。このような 回答の言い分は屁理屈です。特に小規模校(12学級以下)については少人数の教職員 でやらねばならず、たいへんな作業です。したがって、小規模校については、緊急的な 問題として、業者に委託して行うように措置すること。また、他市町村の状況について も調査して報告すること。
Hすべての学校の水泳指導開始直前のプール清掃をただちに業者に委託すること。
I事務の簡素化をはかるため、児童・生徒出席簿用紙に曜日等を印刷するように改善をす ること。経費削減を理由に教職員に不必要な負担をかけないこと。この問題で検討する といいながら、すでに数年を経過しているので、ただちに教職員の要求に応えること。J次のようなものの改善を急ぐこと。
 ?小・中学校の体育時の更衣室(教室の利用の工夫によるのではなく、専用の更衣室を  設けること)、中学校の部活動時の更衣室(男女別)の設置を早急な問題として、年 次計画を公表し、各学校に提示すること。
 ?校庭の学校開放をしている場合には、外で使用できるトイレを早急に設置すること。 ?全校に相談室を設置すること。既存のものを使用する場合は内装工事を施し、児童・  生徒が安心して来られる相談室設置のための年次計画を公表すること。
 ?児童・生徒が、豊かな気持ちで生活できるように、美しい環境の教室を提供するため  に、10年に1回は校舎内外の壁面の塗装工事が必要です。横浜市の塗装工事の年次  計画を策定し、公表すること。
 ?教室の児童・生徒用ロッカーを大きくして、大きくなった教具類がきちんと整頓でき  るように新設校から実施すること。
K私費負担の市教委の考える基準(ア 学校・家庭のいずれでも使用できる教材・教具等 の、児童・生徒の所有にかかわる経費。イ 教育活動の結果として、直接利益が児童・ 生徒に還元されるものにかかる経費)を変更し、「義務教育を無償とする」の原則にた って、次のような項目の父母負担を軽減すること。
 ?標準学力テスト類は全廃すること。市教委の基準ア・イのいずれに照らしてもあては  まらないので、どうしても実施する場合は、学校の必要上行なうので、その費用は、  公費負担とすること。
 ?現在行なわれている学力テストは、市教委の基準ア・イのいずれに照らしてもあては  まらないので中止すること。また、これは校長会の作成になっていて、その標準性の  みならず、作成に当たっての印刷会社等との会計上の疑義が問題になっているので、  (昨年度要求への回答では、疑義なしとしていましたが、責任をとった人がいた以上  疑義ありとみるのが当然のこと)その面からも中止するのが至当と考えられるので、  中止すること。
 ?教育課程上必要とする高額で、短期間利用の物品、たとえば剣道着、柔道着等は学校  に備え付け、貸与するなどの工夫をすること。市教委の基準アに照らして、一部で合  致するが、これらの物品は生徒によっては学校以外全く使用しないということを配慮  すべきです。人の汗したものを着たくないという生徒もいるので、全員に貸与ではな  く、貸与できる用意の必要性を検討すべきです。この工夫について、回答がないのは  要求提出者としては納得のできないことです。
 ?教育活動上、学校が決めて使用するもの、たとえば連絡帳(小学校)、生徒手帳(中  学校)などは、消耗品費を使用するように各学校に指導し、私費による出費を全廃す  ること。市教委基準ア・イに照らして当然のことです。
 ?芸術鑑賞行事の実態を調査し、各学校で実施している芸術鑑賞(児童・生徒数の減少  により一人の負担が大きくなって中止する学校が増加している)などについて、情操  教育の重視の立場から全額または一部を補助して、これらの行事の実施を保障するこ  と。市教委の基準イにかかわることですが、教育上大事なことであり、補助の対象と  すべきです。使用前プール清掃を児童にやらせるというの非教育性とは比較の対象に  ならない、教育性のある行事です。
L教育課程に基づく教育活動上、必要とする諸施設の入場料・施設使用料については、児 童・生徒は参加が義務づけられるので、全額公費負担とすること。
M中学校の部活動、運動部の公式戦、文化部の公式発表会等で、大きな成果をあげ、公的 にも認められていますが、それに参加する生徒の交通費(1回につき、1000円〜2 000円程度の交通費がかかる)は保護者の大きな負担となり、また、子どもの心理的 な負担となっています。費用の面で参加のできない生徒が出始めています。子どもたち の活動を保障するため、交通費を公費負担すること。(部活動振興費ではなく、別途予 算をくむこと)
N部活動は教職員の大きな負担となっていることを考慮し、技術指導者や審判員を学校の 要請による派遣を今後も維持・拡大していくこと。そのための予算措置をすること。
O部活動についての指導教職員の研修の機会をつくること。特に、運動部において一部に 勝負のみにこだわり、暴力(ことばによるものも含め)による指導や無茶苦茶の長時間 練習がまだあることを考えて、指導についての研修を重視すること。
P宿泊体験学習・自然教室について利用しやすい公的施設を更に増設し、利用しやすくす ること。また、他都市の施設でも利用できるものがあれば各学校にしらせること。その ことで、父母負担の軽減をはかること。
Q宿泊行事については市費による医療従事者を配置し、引率教員のもとで、子どもの病気 ・ケガなどで、医療機関とすばやく連絡をとるなど、子どもの健康と安全を守るように すること。引率教員は他の児童・生徒の指導に多忙であり、それに専念するために、専 門家(医師・看護師)が病院等と適切な連絡をとることは欠かせないものだという認識 が市教委に必要です。養護教諭は、児童・生徒の多く残っている学校で子どもたちの健 康と安全を守ることに専念できるようにすること。
R修学旅行・宿泊体験学習・自然教室は教育課程のなかで同趣旨に位置づけられており、 児童・生徒の就学期間(6年間、3年間)全体を配慮して実施している学校行事です。 宿泊体験学習・自然教室などに引き続き交通費等の費用を実施学年すべてに平等に補助 すると同時に修学旅行にも同様の補助を行うこと。「修学旅行への補助は現状では困難 」という状況を打破するために、市教委はその改善に責任をもって対処すること。
S学校災害の救済のため、国に対して無過失責任の「学校災害補償法」の制定を他自治体 等と共同で要請するよう、運動をすること。


5)子どもたちに健やかで、心豊かな知性あふれる人への成長を保障すること

@子どもを権利主体とする学校教育の実現のために、憲法・教育基本法・子どもの権利条 約を基本に、教職員と保護者と子どもたちが協力できる学校づくりを推奨すること。
A学校教育が、一人ひとりの子どもを大切にし、学力を保障すると同時に心豊かな成長を 保障するために、人的配置と施設・設備の充実が大事です。特に人的配置は欠かすこと ができないものだという認識にたち、教育行政としてその努力をすること。
B教員が余裕をもって児童・生徒と接することができるようにするために、教育課程開発 実践推進校の委嘱を極力押さえ、その発表を簡素化すること。市独自の実践推進校につ いては全廃すること。また、各種研究会に伴う校長の講師依頼などの相互の交換出張を とりやめ、校長は自校の教育活動に専念できるようにすること。また、これらの研究活 動に伴う教職員の長時間勤務・過重負担をなくすこと。
C上記Bの趣旨に基づき、教育課程開発実践推進校における教員の繰り返しの授業研究へ の参加のための欠課(数十時間)をなくし、子どもたちの学力を保障し、不利益をもた らさいこと。
D市の教育課程開発実践推進校の委嘱について、教員の過重負担となっているので、中止 すること。
E横浜市の教育水準を引き上げるためには、各校における自発的な研修が必要なので、そ れを保障するために、講師依頼ができるように、各校に講師謝礼金を予算化し、各校に
 配分すること。
F初任教諭のための初任者研修は校内と校外であり、そのため、何時間も教室をあけるこ とになり、研修と学校行事が重なる場合、子どもたちと一緒に参加してその喜びを共有 できなかったりします。「見習い先生」といい、担任として尊敬できず、軽視していく ことなどがありそれが、「荒れ」のもとになることもあります。希望にもえて教職につ いた初任者が希望を失い、大きな苦痛のひとつになっていることもあります。初任者の 要望をよく聞きて、それに応えるような研修にすること。そのために、次のようにする こと。
 ?研修内容を精選して、校外での課業中の研修回数を減らすこと。
 ?そのために、長期休業中の研修回数を増やさないこと。
 ?校内研修に重点を移し、各校での研修のため、講師費など、そのための予算を配布す  ること。
 ?校外研修が学校行事と重なる場合は、初任者に研修の選択ができるように配慮するこ  と。
G臨時的任用職員の初任者には、研修権を認め、研修の機会を与えること。
H横浜市教育委員会以外の他の部局からの各学校への研究委嘱の実態について調査し、そ の実態に基づき、他の部局と話し合って、縮小を検討すること。
I子どもたちと教員の余裕を保障するために、市の各種連合行事を全廃もしくは縮小する ための検討をすること。
J中学校の市体育大会と同様に小学校の市体育大会を全廃・縮小の方向で見なおすこと。K小学校の市体育大会をどうしても実施する場合は、雨天等による延期のための予備日を なくし、中止とすること。横浜国際競技場を使用するためか、予備日が非常にはなれて いて、雨天延期の場合は、市体育大会、学校の運動会、予備日用と時間をおいて何回も 練習するなど、子どもと教職員に大きな負担をかけて、教育課程を大幅に変更せざるを 得ない状況を生み出しているからです。
L国連の「子どもの権利委員会」からの日本政府への勧告の大事な一つは、「極度に競争 的な教育制度によるストレスのよるの発達上の障害」の解消です。高校入試制度を中心 とした詰込み競争主義教育が学校の中でどのようになっているが、その実態を調査し、 それに基づき、そのような教育の改善をはかること。
M入学式・卒業式のあり方は、教育課程に基づく教育活動の一環であり、各学校で研究工 夫されてきています。それは、大綱的な性格をもつ学習指導要領において認めていると ころであり、入学式・卒業式などの式場の位置、式次第などについて規制しないこと。 それは、卒業式を最後の授業と位置づけて、児童・生徒と教職員、保護者が一体となっ て、創造的な卒業式にしようというとりくみの結果です。したがって、卒業式のやり方 については、各校の自主性、創造性に任せること。
N「国旗・国歌」法が成立以来、成立時に国会で論じられてきたことに反して、「国旗・ 国歌」の扱い方が一律的になってきていますが、原則にかえって扱うようにすること。 入学式・卒業式の「国旗・国歌」の扱いを機械的に強制せず、日本国憲法が保障してい る子ども・保護者・教職員の「思想・良心の自由」の保障を第一として、入学式・卒業 式のあり方は、それぞれの学校の創意工夫にまかせ、一律に型にはめないこと。
O2004年度の私たちの教育予算要求書の回答として、「学習指導要領は公教育水準の ために、国が定める教育課程の大綱的な基準であり、文部科学大臣によって告示された もので法規としての性格をもつ」としていますが、「法規としての性格」を規定する根 拠を示すこと。学習指導要領は「大綱的な基準」であり、教育は憲法・教育基本法・学 校教育法に基づいて、各校で教育課程を作成するものであることを確認すること。
P「日の丸・君が代」はあくまでも各学校の教育の問題として、その学校の自主的な判断 に任せること。また、「日の丸・君が代」の実施状況の調査をしないこと。
Q学習指導要領は大綱的な基準であり、戦前の中央集権の教育を志向する過ちを持たない ために、地域に根ざした教育の実現を目指しているので、市教育委員会の民主教育の実 現に向けての認識を明確にする必要があります。学習指導要領を大綱的な基準として各 校の教育課程作成の資料として扱うべきで、市教育委員会の権威を確立させ、学校外か らの政治権力の介入を許さないこと。学校で子どもを中心にして行われる積極的な教育 活動は奨励すること。
R学習指導要領の変更に伴う各学校が教育課程を作成するにあたって、地域に開かれた学 校づくりをめざし、教育の条理に基づいた教職員の自由で柔軟な考え方を尊重し、学習 指導要領や「新よこはま教育プラン」などで、形式的な枠にはめないこと。
S二学期制について、2003年度の短期間の試行で十分な検証もないまま、2004年 度からほとんどの学校に一方的に二学期制を導入させました。試行が一年間通し、二年 目も試行しつつ、一年間の検証期間を置くのが常道であるにもかかわらず、年度途中で 結論を出し、全校で実施するかのごとく印刷物を保護者に配布するなど、学校の意向、 特色づくりを無視したやり方は許されません。2004年度の実績について検証し、2 005年度以降いつでも三学期制に変えられることも含め検討すめこと。
(21)教科書採択にあたっては当然のことですが、直接教育にかかわる教職員の意見を反映 できる制度にすること。教育委員の責務は直接に教科書採択事務をするのではなく、憲 法・教育基本法に則り、教職員・保護者(市民)の意見を汲み上げて、子どものすこや かな成長を期するように、教職員の民主的な内容ある研修を奨励する仕組みをつくるこ とであり、その実現に努力することです。保護者・市民の教科書についての意見を収集 できるような仕組みをつくること。
(22)出張旅費の増額を県に強く要求すること。
(23)児童・生徒の日常生活にかかわる「きまり」「校則」について、子どもの権利条約の 観点から総点検し、その改変に取り組むように、教職員に呼びかけること。その場合子 どもたちの意見を取り入れる道筋を考えることを指摘すること。


6)小学校給食の充実と中学校給食を直営自校方式で実現させること。

@学校栄養職員を他市町村と同様に市費職員を含め、各校に専任で1名ずつ配置し、学校 栄養職員1名による2校勤務を中止すること。
A現在実施されている小学校給食の安全の確保と内容の充実のために、調理員を正規職員 で、100食を基準に多くて120食に1人の調理員を配置すること。
B学校給食は、単に栄養価のある昼食の提供だけにあるのではなく、食文化の問題として 給食の献立はもちろんのこと、食事作法、雰囲気などあたたかい友達関係のもとで、み んなで食事をするなど、教育としての営為です。それに見合うように、ランチルームな どの条件を早急に整備すること。
C小学校の学校給食の民営化を目途に、2003年9月の2学期から、2校の試行校を決 めて実施し、その結果報告を出していますが、学校給食は学校給食法に基づき、横浜市 の責任で実施すべきもので、「自校直営方式」を堅持し、充実をはかり、教育としての 学校給食の実現をはかること。
D学校給食法の趣旨を積極的に受けとめ、中学校給食実現のために、「中学校給食実現プ ロジクトチーム(仮称)」を教育委員会内につくり、直営自校方式による完全学校給食 を中学校で実現するように努力すること。
E上記Dとかかわりなく、緊急問題として全国的、全県的に特異である横浜市の中学校の 牛乳給食の不実施を改め、2005年度以降なるべく早い時期に始めること。
Fどうしても弁当を持ってこられない生徒のために、現在、業者による弁当販売をおこな っていますが、これはあくまでも緊急避難的な措置として、学校給食法に基づいた自校 直営方式による完全給食を実施すること。
G給食室の改善にとりくみ、ドライシステム方式に切り替えているようですが、そのテン ポをあげ、各校の改善予定年度について通知すること。また、エアコンを設置し、調理 員の健康を守ること。
H二階以上の各教室への配膳の安全と時間を確保するため、ワゴンが使用できるように、 リフトを設置すること。特に、校舎改築にあたってはリフトを必ず設置すること。リフ トがないため、低学年の担任教員、子どもへの負担が非常に大きいという実態を調査し 改善すること。
I給食会購入の食材の利用を学校の選択制とすること。また、各校ごとに食材の購入がで きるようにすること。
J食材の運搬費を給食費に含めていますが、公費負担とすること。給食の内容を一層よい ものにすること。


7)子どもたちの放課後を豊かにするために他の部局とも協力すること。

@横浜市教育委員会として、子どもたちの放課後の生活まで責任をもつために、文化的施 設、運動的施設を少なくとも各区に1箇所は設置し、子どもたちが、いつでも楽しく過 ごしたり、学習したりできるようにすること。そのために、専門の指導員・相談者を配 置し、子どもの要求に応えるようにすること。
A横浜市は、児童館にかわるものとして地区センターをあげていますが、その設置の目的 が違うので、指導員・相談員がいません。地区センターを子どもたちの利用の中心とす るならば、そのための人的配置が必要です。したがって、他都市と同様に指導員等の配 置をすること。
B現在、小学生のための施策として、市民局扱いの児童福祉法に基づいた「学童保育所」 と市教委の独自の施策による「はまっ子ふれあいスクール」の二つがあります。学童保 育所は施設の確保に苦労し、学校施設の利用を要請していてもほとんど許可がでない現 実である一方、後からできた「はまっ子ふれあいスクール」には学校施設の利用を許可 しています。これは、公平・平等の原則に反していて、学童保育所を利用している子ど もと保護者に大きな負担をかけています。したがって、学童保育所にも学校施設の使用 を進めたり、敷地内に学童保育所を新設したり、施設費の補助を行なうなど、公平・平 等の原則にたって、子どもの放課後の生活を保障し、同時に保護者の経済的な負担を軽 減すること。


8)教職員が健康で生き生きと教育活動に専念できるように条件を整備すること。

T)教職員の賃金・勤務時間等の問題

@臨時的任用職員(教員)や非常勤講師の賃金等、労働条件を実態にあったように改善し ていくこと。途中採用の多い臨時的任用職員は、途中日数については通勤手当などが支 給されず、自費で通勤するという不利益を受けています。実質勤務日で計算し、通勤手 当等を全額支給し、その不利益をなくすことを、県に強く要求すること。県が支払いを するまでは、市の責任としてその不利益をなくす緊急措置をとること。
A臨時的任用職員(教員)や非常勤講師の賃金等は、療養休暇等の補充の場合、法律上採 用が短期間になることが多く、不利益を受けているので、その採用を最低でも月単位と してその賃金等を保障すること。
B採用試験が毎年7月半ばのため、学期末の成績処理の時期と重なり、現職の臨任職員や 非常勤講師はまじめに教育活動に取り組んでいるため、受験準備もできず受験するとい う不利な条件になっています。臨任職員や非常勤講師で現職にある人で、正規採用を希 望する人については、地公法22条6項に違反しない方法で勤務実績を反映させるなど の工夫すること。また、採用試験の時期について工夫すること。
C教職員の勤務時間については、労働基準法どおり、原則として、午前、午後の休息時間 と昼の休憩時間がとれるようにすること。
D教職員の勤務実態について調査し、その実態を明らかにすること。その実態に基づいて 上記Cの実現のために、人的配置を行うこと。また、労働厚生省の通達(2001年4 月)に基づき、教職員の超過勤務についての実態を調査し、その改善に努力すること。E教職員が休息・休憩時間に休息。休憩がきちんと取れるような施設・設備を、各学校に 整備すること。
F教職員には、教材研究や授業に必要な準備のために膨大な時間を必要としており、その 時間も本来、勤務時間となっています。したがって、横浜市教育委員会は、教職員が教 材研究等の研究時間を勤務時間内に確保するための措置をとらなければなりません。そ れができない時は、別途、その時間を保障する措置をすることが必要です。その方策を 検討すること。
G測定可能な超過勤務に対しては、労働基準法36、37条の適用を復活させ、時間外手 当の支給をすること。法的に不可能な場合は、別途支給できる方法を検討すること。
H教職員の休日にあたる土曜(午後・第2・4土)、日曜、祝日の部活動については、県 予算より特殊勤務手当が一部支給されていますが、その増額を県に働きかけると同時に 社会的妥当な金額を市費で補充して支給すること。当面、公式戦等の引率には、少なく とも1時間につき1000円の謝金を支給すること。こうした教職員の奉仕の実態につ いて、機会あるごとに市民に訴え、問題を喚起すること。
I修学旅行など宿泊行事の付き添いは、特殊勤務手当が支給されていますが、全日勤務に なる業務としては社会的に妥当性を欠いているので、その増額を県に要請すること。ま た、増額されるまで、補充の謝金を市費で支給する方法を検討すること。
J小学校の宿泊行事には、教職員数の不足から他学年から応援の教職員が参加することが 常態となっています。そのため応援教職員の学級が結果的に自習時間が多くなったり、 教職員が回復措置をとらずに良心的に自習時間を少なくしようとしたりしています。こ のように子ども・教職員に負担をかけないように、行事には市教委の責任で指導員を必 ずつけて解決すること。

U)「子どもたちを主人公に!」
              のための人事の民主化を。

@毎年数千人の教職員の異動人事があるということは異常な状態と考えられます。教職員 の人事異動を学校組織の活性化といっていますが、活性化どころか停滞さえ起こってい ます。1校の在任期間を10年を最高としているため、平均6〜7年で異動するという ことになり、横浜市の教職員は4年間でほぼ全員が異動するという状況をつくりだして います。このことは、「開かれた学校」を口では言いながら、実際は、行政が学校を地 域から切り離し、地域に開かれた学校になりにくい状況をつくりだしています。人事異 動をすれば学校が活性化するという単純な考え方を排して、異動人事について抜本的な 方針の転換を求めます。現在のままでは、落ち着かない学校の状況をつくりだし、「い じめ」や不登校、「荒れ」のもとになります。現在のいくつかの学校の荒れの原因の一 つはこうした短期間の教職員の異動人事により地域と結びついた教育の実践が困難にさ せられていることにあり、行政側にその責任があると言えます。そのための解決策とし て、地域・保護者と結びついた教育の実践、学校づくりのために、行政的な判断ではな く、教育学的な判断を重視し、人事異動について、1校の勤務年数を長期間にすること を原則に、次のことを検討されたい。
 ?教職員の意見を最大限生かすこと。
 ?同一校勤務を最大15年前後とすること。(初任者は初任校を6年以内とし、いくつ  かの学校を経験すること)
 ?学区内、同区内等の異動は本人の希望によって可能とすること。
 ?通勤時間を1時間以内になるようにすること。
 ?54歳以上の教職員には、15年を超えることを認め、異動を強要しないこと。(勤  務年数に関係ないこととする)
A異動については、教職員が次年度の教育活動の準備を保障するため、第一次紹介を2月 初旬とし、3月上旬には原則的に終了させること。
B人事異動に関して、転任希望カードには、教職員は3区までを指定できるものとするこ と。ただし、障害児学校の教職員は3校を指定できるものとすること。
C上記@と同様に、校長の在任期間も非常に短く、3年以下になっています。そのため、 校長の姿勢は保身的になり、在任中の問題発生を恐れて命令的になったり、消極的にな ったりする傾向にあります。教育は、命令で行なわれるものではなく、教職員相互の協 力・協同に基づき、自由と人権が保障されている職場で、一人ひとりの教職員が、自主 的、全人格的な判断がなされるなかで実践されるものです。その場合、校長の位置は重 要です。校長と教職員が対等な立場で協同して学校運営に当たっていけるようなリーダ ーシップを発揮できる人格の校長が要請されています。校長は学校に密着した学校づく りに努力すべきであり、そのためには、校長の在任期間を長くし、教職員と協同して学 校運営ができるような態勢にすること。また、以上の意味で、校長任用に当たっては教 職員の意見を反映させる方式を検討すべき、行政的な判断ではなく、教育学的な判断に 立って行うべきです。
D現在の副校長の勤務実態は午前7時前後から午後7時以上というのが常態という有様の 長時間勤務になっています。出張の多い校長の職務を代行していることもあり、その無 権利状態は甚だしいものがあります。このような無権利状態では、教職員・子どもの人 権・権利についての意識が弱まります。校長は、出張を極力少なくし、校長としての本 務を遂行し、副校長の仕事の軽減をはかる必要があります。そして、副校長は、授業を もつなど、子どもたちとの関係を深め、教育的力量・識見を発揮して、校長とともに校 内における教職員との協力・協同の中心として学校づくりを進め、各校の教育の向上に 寄与すべきです。その立場から副校長の勤務実態を調査し、副校長の人権の保障と健康 の保持のために、勤務時間の短縮をはかること。副校長の人権・権利、健康を保障する こと。
E前記Cに関連して、管理職の登用に当たっては、各学校の中心となって、常に教育活動 の先頭に立ち、教職員・保護者市民の意見を聞いて、協同の立場がとれる教育哲学をも った人であることを基準とすること。また、現行の管理職登用基準を全教職員に配布し て、管理職のありようを教職員全員が検討できるようにすること。当然、情実のはいる ことのないようにすること。
F各校での研修のための予算を新しく位置づけ、活性化のためにも各校に学校裁量で支出 できる研修活動費(研修会講師料・資料収集等の旅費等)を配当し、教職員が有効な研 修ができるようにすること。市長部局に教育は金がかかるものだという認識の変更を迫 るような、積極的な予算要求をすること。
G一般教職員の日常の教育活動への努力を認め、定年退職に当たって、昇任退職制度を設 けることを検討すること。
H年金制度の改変によって、年金が定年退職後全額直ちに支給されない現在、退職者に対 して行っている再任用、再就職の紹介等を退職者全員に平等に知らせ、退職者の生活の 保障をすること。
I再任用制度によって、退職者が定数内の職員として再任用されていますが、再任用につ いて柔軟に対応して、退職者の希望により定数内再任用の採用か、非常勤職員の採用か を決め、非常勤職員を各学校に1名以上の配置をすること。その職務は各学校の要請に より、図書館指導、授業準備作業、保健活動補助、学校事務補助などを行うものとする こと。

V)教職員が健康で元気に教育活動に参加で    きるように、教職員の健康と安全を守る    こと。

@横浜市教育委員会は、教職員の健康と安全を守る立場から、労働安全衛生法に基づいた 要綱をつくりました。それを実のあるものとするために、各学校における衛生委員会の 活動が期待されます。衛生委員会の望ましい活動のために、だれもが衛生管理者になれ るように、その資格をとれるための研修講座を設けること。
A労働安全衛生法に基づいて、各校衛生委員会に産業医を配置すること。現在の産業医の 配置数は非常に少ないので、各区に1名を配置できる程度の人数の産業医を配置するこ と。また、それまでの間、横浜市立学校職員衛生委員会の産業医を各校を巡回させ、各 校の衛生委員会と懇談し、意見の聴取をすること。また、産業医が独自に各校の実態を 調査するよう要請すること。その報告書を公表し、市教委の責任を明確にすること。
B労働安全衛生法に基づいた教職員の健康管理の充実のために、当面、教職員の一日検診 を30歳から毎年受けられるように見直しをすること。また、その検診項目に、超音波 による検査、腰痛、更年期障害、嗄声の検査などを加えて、その充実をはかること。女 子職員には子宮体ガンの検診を加えること。
C市教委は全教職員が人間ドックが受けられるようにすること。あわせて、補助金の拡大 をはかること。
D教職員が全員、期間内に健康診断を受けられるように条件整備をすること。また、未実 施がないように、点検を確実にすること。また、検診等の内容や病院側の受け入れ態勢 等について、教職員の要望を調査して、その改善をはかること。
E妊娠時授業軽減措置の代替を対象者1名につき1名を配置すること。盲・ろう・養護学 校・個別支援学級についてはその職務の実態に応じた時間数を拡大すること。県が措置 するまでの間、市の責任で配置すること。
F厚生活動は、本来雇用者責任でなされるべですが、それがあいまいにされています。そ の責任において教職員の希望を調査してその充実をはかること。
G永年勤続者のリフレッシュ休暇について、永年勤続者職免に加えて、県の「リフレッシ ュ休暇実施要領準則」を適用させること。また、必ず代替者を配置し、安心してリフレ ッシュできるようにすること。取得期間を1年間とし、余裕をもってとれるように至急 改善すること。
H退職者の辞令交付式において、退職者を「さん」の敬称をつけて呼ぶこと。辞令交付式 が時代遅れで、人権意識のない大時代がかったものであったことを改め、退職者の意向 を考慮し、退職者中心の辞令交付式にあり方を変更すること。

W)人権と生き生きした教育活動を保障する    ために、管理主義的な教職員管理をやめ    ること。

@人事評価制度、指導力不足教員認定制度は、公平性・透明性・納得性が得られていない ので、再検討・改善をはかること。また、これらを人事・処遇にリンクさせないこと。A教職員の管理体制につながる学校管理規則を撤廃すること。
B教職員の啓発は職場の民主的な関係の中で、相互の自由な討議によってなされるべきで あり、各職場での教職員の連帯と協力・共同の感情を否定することにつながるような条 件を排除することが行政の第一任務です。横浜市の子どもたちのために、子どもたちが 瞳を輝かせるような、教職員の教育条件、勤務環境をつくりだすことを要望します。


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