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2004年度の横浜市教育予算に関する要求書を2003年9月27日に横浜市長、横浜市教育委員会教育長へ提出しました。
なお、昨年度の要求と回答につきましては、20003年度の要求書と回答をご覧ください。
2004年度に向けては「個別支援教育(特別支援教育−障害児教育)」について、大きな動きがあるなかで要求内容も大きく変わっています。

憲法・教育基本法
 
           ・子どもの権利条約 に基づいた
 
 
2004年度
 
 
横浜市教育予算編成に
 
 
                     関する要求書
 
 
 
 
                 子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会
 
 
 
             は じ め に
横浜市の責任を明確にした教育予算の実現を 戦後、日本は初めて基本的人権を明記し、国民主権・戦争放棄を宣言した憲法をもちました。そのもとで教育基本法が制定され、「人格の完成」を目的とし、「平和的な国家及び社会の形成者」とする国民の育成を主眼とし、子どもたちを権利の主体者として教育を享受するという、子どもを主人公にする教育が求められてきました。そのために、戦前の文部省・内務省による国家主義的な教育が否定され、新しい民主主義教育の実現のために教育条件(人的・物的諸条件)の整備が行政の役割となり、各市町村教育委員会はそのことに力を注ぐことになりました。しかし、この50年間、基本は憲法・教育基本法に基づきながら、自民党を中心とした政府とそれにつながる財界などの一部勢力は、憲法・教育基本法をないがしろにし、教育行政はこれらの法に反して、教育条件の整備を怠り、学校教育を競争と選別の場にすることで、制度的にも内容的にも子どもたちを苦しめてきました。また、地方教育行政は、文部省に従属させられ、中央集権的な教育を推進する役目を押しつけられてきました。これは民主教育を求める市民の願いに反するものです。
 したがって、これらの諸問題を考えるならば、教育の問題の第一の責任は政府にあります。憲法・教育基本法をないがしろにする教育行政のため、「子どもの権利条約」に関連する国連への第一回政府報告は国連の「子どもの権利委員会」に厳しく批判されました。先進国にはかつて例を見ない48項目にわたる「懸念、勧告と提案」を、「子どもの権利委員会」は政府に示し、その改善を迫りました。しかし、政府・文部科学省はその改善をしていません。
 現代の教育は、憲法・教育基本法・子どもの権利条約を根幹にして行われるべきものです。その「子どもの権利条約」のもっとも大事なことは、子どもを権利主体として認め、その上にたって、子どもに「最善の利益」をもたらす教育を用意することです。教育行政はその実現のためにあり、教育環境を整備し、子どもを主人公とした学校教育の実現を進めるべきです。これは、教育基本法第10条の内容です。また、「子どもの権利委員会」が勧告の中で最も厳しく批判している競争主義教育、詰め込み教育をやめ、子どもたちのストレス解消のためにも、教育基本法の内容を完全に実現すべきです。
 学校完全五日制の実施と新学習指導要領の本格実施は、学校教育の矛盾を激化させています。子どもも教職員も「ゆとり」のない、多忙な毎日を送っています。こうした中で、不登校の児童・生徒数は増加し、暴力、いじめなどの問題も解決しないままに子どもたちは放置されています。その解決のために、子どもも教職員も強く望んでいる30人以下学級の要求は、父母・市民の要求であり、そのために、横浜市の責任で解決することが強く求められています。
 私たち横浜教職員の会は日頃より子ども・教育のために、教育活動に専念し、大きな努力を払っている教職員の組織として、以上の教育の基本にたって、いかなる政治権力の教育への介入を排除し、教育の論理にしたがって横浜の子どもたちすべてが、人間として生き生きと生活ができるように、以下の各項目・内容の実現を求め、教育予算を大幅に増額することを要求するものです。
 
         要求項目
 
 
1)憲法・教育基本法・子どもの権利条約の実現の要求
 
@現在進められている教育基本法改正に強く反対を表明し、教育基本法の内容を完全に実 現するような施策をすること。

A教育基本法第10条に基づいて教育条件を整備する立場を堅持すること。

B国際的な条約であり、政府が批准した子どもの権利条約を市民に徹底するため、市民向 けの解説パンフレットをつくり、地方自治体としての責任をはたすこと。

C児童・生徒用子どもの権利条約解説パンフの改訂版を早急につくること。

D教育関係者に子どもの権利条約を徹底するため、教職員、保育園保育士、学童保育の指 導者などのために子どもの権利条約解説パンフを作成して配布し、横浜の教育に役立て ること。

E子どもの権利条約に基づいた施策の実現のため、「子ども課」(仮称)を設置し、乳幼 児から高校生までの子どものための総合的政策を策定し、施設・設備の設置と人的配置 などを実現するための予算をつけること。

F子どもの権利条約を基にした「横浜子ども権利条例」(仮称)を策定し、市教委として 子どもの権利を保障する施策を策定すると同時に市民に子どもの権利の尊重を呼びかけ ること。

Gピースメッセンジャー都市協会の副会長都市として、2001年度総会の横浜アピール 全文を市民に紹介し、積極的に平和への願いを横浜市から国の内外に発信すること。そ のためにその内容を印刷して全市施設に置いておくこと。

H横浜大空襲の5月29日を「横浜平和の日」として制定し、市民に平和の大切さをアピ ールする日とすること。学校では平和を学ぶ日として子どもたちが平和について考えあ うことを推奨すること。

Iピースメッセンジャー都市の目にみえる活動として、横浜市内各地に残っている戦争遺 跡を文化庁の指定にかかわりなく保存し、表示板を設置すること。また、平和のための 戦争遺跡マップを作成し、児童・生徒の学習に役立てるようにに配布すること。

J「都市発展記念館」(仮称)内に重要な位置づけとして平和のためのコーナーを設け、 平和のための諸物品・資料の展示・保存・収集すること。また、平和教育のための資料 を貸し出し、提供できるようにして、学校における平和教育の一層の充実に努力するこ と。

K横浜市教育委員会の会議の公開を市民に広く知らせ、傍聴を呼びかけること。そのため に会議場を広くし、会議議案書と関連資料を傍聴者に配布すること。また協議内容を傍 聴者(市民)に十分に聞こえるようにマイクを使用すること。

L私たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」は、登録された団体ではありま せんが、法の正しい解釈に基づき、教育公務員の職員の団体であることにより、横浜市 教育委員会と交渉できる権利を有しているので、交渉の場を持つこと。そのために、私 たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」の、この要求書について、予備折 衝も含めて、いつ、どこで、主として何について、どのような形式で話し合うのか、に ついて両者で話し合って決めること。 (地方公務員法第55条によるものであり、そ の11項は職員各人に適用が保障されているもので、その適用は各個人の団体に対して も登録しているか否とにかかわらずできるという解釈が、この法解釈にかなっているも のです)
 
 
2)30人以下学級実現の努力をすること
 
@義務教育国庫負担制度の改悪に反対し、国の責任として現在の制度を守るよう、横浜市 教委として繰り返し要請し、この問題での、他の自治体との協同をはかること。

A上記@により、義務教育国庫負担制度の一切の削減に反対し、学校事務職員・学校栄養 職員の給与の国庫負担制度の堅持を引き続き国に要請すること。

B30人以下学級実現を緊急課題として、教職員定数の配当基準を大幅に改善をするよう に、現行の「第7次公立義務教育諸学校教職員配当改善計画」を早期に切り上げ、「第 8次改善計画」をすみやかに策定するよう、国に要請すること。

C今回の法改正に基づき、30人以下学級の実現のため、横浜市として教職員の採用が可 能になったことを受けて、横浜市の予算に基づいて教職員を配置すること。

D第6次、第7次改善計画による、TT、少人数授業担当教員の各校での役割について規 制をゆるめ、各校の教育活動の自主的な運用にまかせること。

E現在、6年生については、児童数が減少しても県予算で前年度と同数の学級でよいこと になっています。この施策は、子どもたちに安心感を与えるすぐれたものです。この施 策をどの学年の子どもにも適用して、安心して学校生活が送れるように、すべての学年 で学級数を減らさなくてもいいように、神奈川県に強くその実現を迫ること。

F横浜市では、定数内の欠員の臨時的任用職員が284名と相変わらず多く、学校によっ ては2〜3名の臨時的任用職員が配置されていることもあり、これは異常事態です。こ うしたことは、学級数の把握を教育の目線ではなく、管理のためにのみみていることか ら生じることで、失政ともいえるものです。学級数確定期に各学校長とよく相談して学 級数を想定し、児童・生徒減による学級数の減があっても市教委が責任をもって対処す ることを表明し、学校長の報告の学級数で教職員を配当すること。臨時的任用職員の配 置を極力避け、その数を100名以下におさえること。今回の法改正により、横浜市と して常勤講師を雇用すれば、各学校で工夫はできるので、「学級編制については県教委 にある」というような行政を改めること。

G臨時的任用職員(教員)が前記Fのように多いため、学年途中での臨時的任用職員や非 常勤講師の配置が難しい状況があります。子どもたちに担当者がいないという状況をつ くらないように、横浜市としてすぐに配置できる体制をとっておくこと。

H学年途中の児童・生徒増による学級増について、県教委が教職員を配置しないという条 件によって、学級増を押さえ込んでいます。これは不法な措置です。市教委は各学校の 要請を受けて学級増のための教職員を責任をもって配置すること。

I養護教諭(03年度11名)、学校事務職員(10名)の臨時的任用職員の数は少なく 把握しやすいので、完全になくすこと。

J「いじめ」「不登校」など、子どもたちの悩みなどに応えるため、すべての学校に複数 の養護教諭の配置を強く県教委に要請すること。県が配置しない場合でも、市教委の責 任で実施し、困難な学校から順次配当していくこと。

K子どもたちの悩みに応えるため、すべての小学校にも学校にカウンセラーを配置し、小 ・中学校のカウンセラーの勤務日数をふやすこと。同時に保健相談室を設置し、いつで も子どもの相談に応えられる態勢をつくっておくこと。

L12学級以上のすべての学校に学校事務職員を複数配置すること。

M小学校専科教員を各校にあと1名配置するために、横浜市教育委員会として非常勤講師 を採用すること。

N小学校の小規模校に配置している補助員を、11学級以下の条件を改定し、学年に関係 なく単学年のある学校には、12学級以上の学校にも配置できるようにすること。

O2003年度に新設された新入生サポート事業は、小学校353校に対して12名であ り、たいへん少ない数ではあるが、今までの私たちの要求を実現させるものとして評価 できます。04年度に向けては、小学校1年生に対して35人以上の学級のある全学校 に、新入生サポート事業として非常勤講師を派遣すること。

P学校図書館への司書教諭の配置を専任の司書教諭で行うこと。国がそれを実行しないと きは、市の責任で司書教諭を定数外として配置をすること。
 
 
3)障害児の教育の充実と卒業後の生活の保障を充実すること
 
A<障害児学校に関すること>
 
@養護学校の大規模化解消と地域性のある学校づくりをすすめること。横浜市の南部方面 に高等部をもつ肢体不自由養護学校を新設すること。横浜北部方面・横浜西部方面に高 等部を持つ知的障害養護学校を新設すること。

A重度重複障害児の教育を更に保障するため、上菅田養護学校高等部中村分教室・北綱島 分教室・新治分教室・東俣野分教室については、それぞれ中村養護学校の高等部、北綱 島養護学校の高等部、新治養護学校の高等部、東俣野養護学校の高等部に移行すること

B養護学校小・中学部の教員不足の実態について調査し、必要に応じて教員を加配するこ と。

C障害児学校に配置されている委託介助員の介助範囲を拡大し、校外指導等にも付き添え るようにすること。また、その待遇を改善すること。

D知的障害児学校の児童・生徒の通学を保障するために、スクールバスを増車すること。

B<個別支援学級・通級指導教室に関すること>
 
@障害児の教育を保障するために、個別支援学級を継続して廃止しないこと。

ALD、AD/HD、高機能自閉症などの子ども達の教育を保障するため、教員を配置す ること。

B個別支援学級の学級規模を6名以下として、1学級2名の教員を配当すること。また、 小学校での学級編制については、低学年・高学年などの2学級以上の編制とすること。 以上を国及び県に強く働きかけること。それまでの間、横浜市として、それに見合う教 員を配置すること。

C個別支援学級に、重度重複障害児が在籍した場合には、横浜市の責任で教員を加配する こと。

D個別支援学級を新規に開設する場合、施設設備費、備品費、消耗品費等の予算を十分に 配当すること。

E個別支援学級・通級指導教室の担当教員の異動に当たっては、専門性、指導の継続性に 配慮すること。
 
C<通常学級に在籍する障害児の教育に関すること>
 
@通常学級に障害児が在籍した場合には、その障害の実態に応じて、横浜市の責任で教員 を加配すること。その実現までの間、横浜市の責任で非常勤講師を確保し、配当するこ と。

A通常学級に配置されている介助員の日数を増やすこと。また、学校ごとに確保するので は緊急の場合には対応できないので、市教委の責任で確保すること。
 
D<障害児の地域生活に関すること>
 
@障害児の豊かな放課後を保障するため、学童保育やはまっ子ふれあいスクールで障害児 を受け入れる場合は、人的配置を行うこと。

A障害の重たい子の豊かな放課後を保障するための、それに対応する施設・設備、人的配 置等を公的に保障すること。

B障害児が、放課後や休日に地域の施設や地区センターを利用できるように、介助のため の人員の配置を行うこと。

C障害児の宿泊行事としても利用できるように各施設を改善すること。利用頻度の高い「 三浦ふれあいの家」は車イスの使用にも対応できるように改築または改修するように引 き続き県に働きかけること。県の回答をお知らせください。

D登下校中の災害に際して、障害児が安全に避難できるような対策を講じること。

E災害時に避難所での障害児とその家族が安心して避難生活が送れるような対策を講じる こと。
 
E<障害者の雇用に関すること>
 
@横浜市自身が障害者雇用を積極的に進め、一般企業にも雇用の促進を指導すること。

A横浜市の責任で視覚障害者をヘルスキーパーとして雇用し、横浜市職員の腰痛予防のた めに配置すること。教職員や給食調理員、技術員等が福利・厚生利用として利用できる ように学校巡回を実施すること。
 
 
4)施設・設備の改善、父母負担の軽減をはかること。
 
@新設校及び建替え期にある校舎については、「子ども達の未来を拓く学校施設−地域の 風がいきかう学校」(学校五日制時代の公立学校施設に関する調査研究協力者会議報告 文部省教育助成局 平成11年7月)に基づき、教職員、地域、子とも達の声を反映さ せ、特に子どもの目線で考えるために子どもの意見を聴取し、その意見を反映させた校 舎の改善・建設をすること。

A児童数の増加によって、一部の学校で大規模化が進み、校舎不足からプレハブ校舎での 授業を止むを得ずやっています。学区内に学校用地が確保されている場合には学校を新 設するなど大規模校を解消し、子どもの立場に立って学校規模の適正化を急ぐこと。

B子どものシック症状対策として、施設・設備の全面的な点検と改修を行うこと。

C校舎の新築・改築に際しては、文房具等の大型化に合わせて基準を変えていくこと。

D新JIS規格の児童・生徒用机・椅子の整備を5カ年計画で実施すること。

E学校運営費を大幅に増額して、教育活動を豊かなものにしていくこと。

F学校の特色づくり推進費などの前途金制度については、学校の実態にあわせて活用でき るように弾力化をはかるとともに事務手続きを簡素化すること。

G夏のプール指導開始直前のプール清掃について、小規模校(12学級以下)については 緊急措置として、試行的にでも業者に委託すること。

Hすべての学校の水泳指導開始直前のプール清掃を業者に委託すること。プールの安全管 理面での施設の点検は業者が清掃した後で教職員がやる方が合理的であり、子どもたち への事前指導と清掃とはまったく関係ないことを考えて、現行の教職員や児童に負担を かけた清掃は教育活動外のこととして、中止すること。

I事務の簡素化をはかるため、児童・生徒出席簿用紙に曜日等を印刷するように改善をす ること。経費削減を理由に教職員に不必要な負担をかけないこと。この問題で検討する といいながら、すでに数年を経過しているので、ただちに教職員の要求に応えること。J次のようなものの改善を急ぐこと。

*・中学校の体育時の更衣室(教室の利用の工夫によるのではなく、専用の更衣室を  設けること)、中学校の部活動時の更衣室(男女別)の設置年次計画を公表し、各学  校に提示すること。

*校庭の学校開放をしている場合には、外で使用できるトイレを早急に設置すること。 ?全校に相談室を設置すること。既存のものを使用する場合は内装工事を施し、児童・  生徒が安心して来られる相談室設置のための年次計画を公表すること。

*児童・生徒が、豊かな気持ちで生活できるように、美しい環境の教室を提供するため  に、10年に1回は校舎内外の壁面の塗装工事が必要です。横浜市の塗装工事の年次  計画を策定し、公表すること。

*教室の児童・生徒用ロッカーを大きくして、大きくなった教具類がきちんと整頓でき  るように新設校から実施すること。

K私費負担の市教委の考える基準を変更し、「義務教育を無償とする」の原則にたって、 次のような項目の父母負担を軽減すること。

*標準学力テスト類は全廃すること。どうしても実施する場合は、学校の必要上行なう  のであって、その費用は、公費負担とすること。このテストによる利益は児童・生徒  にはありません。児童・生徒が受ける利益があるとすれば、市教委の回答にあるよう  に「子どもの側にたった学習指導ができることを目的としている」ので、教員の指導  法の研修等によるものなど、副次的であり、テストそのものからの利益ではありませ  ん。したがって、この理由で保護者負担の理由にはなりません。

*現在行なわれている学力テストは、校長会の作成になっていて、その標準性のみなら  ず、作成に当たっての印刷会社等との会計上の疑義が問題になっているので、その面  からも中止するのが至当と考えられるので、中止すること。前年度の回答にこの項の  回答がなかったので、必ずご回答ください。

*教育課程上必要とする高額で、短期間利用の物品、たとえば剣道着、柔道着等は学校  に備え付け、貸与するなどの工夫をすること。これらの物品は生徒によっては学校以  外全く使用しないということを配慮すべきで、人の汗したものを着たくないという生  徒もいるので、全員に貸与ではなく、貸与できる用意が必要だということを検討すべ  きです。

*教育活動上、学校が決めて使用するもの、たとえば連絡帳(小学校)、生徒手帳(中  学校)などは、消耗品費を使用するように各学校に指導し、私費による出費を全廃す  ること。

*芸術鑑賞行事の実態を調査し、各学校で実施している芸術鑑賞(児童・生徒数の減少  により一人の負担が大きくなって中止する学校が増加している)などについて、情操  教育の重視の立場から全額または一部を補助して、これらの行事の実施を保障するこ  と。

L教育課程に基づく教育活動上、必要とする諸施設の入場料・施設使用料については、児 童・生徒は参加が義務づけられるので、全額公費負担とすること。また、地域の人々が 教育に参加してくれた時の、地域協力者への謝金を予算化すること。

M中学校の部活動、運動部の公式戦、文化部の公式発表会等で、大きな成果をあげ、公的 にも認められていますが、それに参加する生徒の交通費(1回につき、1000円〜2 000円程度の交通費がかかる)は保護者の大きな負担となり、また、子どもの心理的 な負担となっています。費用の面で参加のできない生徒が出始めています。子どもたち の活動を保障するため、交通費を公費負担すること。

N部活動は教職員の大きな負担となっていることを考慮し、技術指導者や審判員を学校の 要請による派遣を今後も維持・拡大していくこと。そのための予算措置をすること。

O部活動についての指導教職員の研修の機会をつくること。特に、運動部において一部に 勝負のみにこだわり、暴力(ことばによるものも含め)による指導や無茶苦茶の長時間 練習がまだあることを考えて、指導についての研修を重視すること。

P宿泊体験学習・自然教室について利用しやすい公的施設を更に増設し、利用しやすくす ること。また、他都市の施設でも利用できるものがあれば各学校にしらせること。その ことで、父母負担の軽減をはかること。

Q宿泊行事については市費による医療従事者を配置し、引率教員のもとで、子どもの病気 ・ケガなどで、医療機関とすばやく連絡をとるなど、子どもの健康と安全を守るように すること。引率教員は他の児童・生徒の指導に多忙であり、それに専念するために、専 門家(医師・看護師)が病院等と適切な連絡をとることは欠かせないものだという認識 が市教委に必要です。養護教諭は、児童・生徒の多く残っている学校で子どもたちの健 康と安全を守ることに専念できるようにすること。

R修学旅行・宿泊体験学習・自然教室は教育課程のなかで同趣旨に位置づけられており、 児童・生徒の就学期間(6年間、3年間)全体を配慮して実施している学校行事です。 宿泊体験学習・自然教室などに引き続き交通費等の費用を実施学年すべてに平等に補助 すると同時に修学旅行にも同様の補助をおこなうこと。「修学旅行への補助は現状では 困難」という状況を打破するために、市教委はその改善に責任をもって対処すること。S学校災害の救済のため、国に対して無過失責任の「学校災害補償法」の制定を他自治体 等と共同で要請するよう、運動をすること。
 
 
5)子どもたちに健やかで、心豊かな知性あふれる人への成長を保障すること
 
@子どもを主人公・権利主体とする学校教育の実現のために、憲法・教育基本法・子ども の権利条約を基本に、教職員と保護者と子どもたちが協力できる学校づくりを推奨する こと。

A学校教育が、一人ひとりの子どもを大切にし、学力を保障すると同時に心豊かな成長を 保障するために、人的配置と施設・設備の充実が大事です。特に人的配置は欠かすこと ができないものだという認識にたち、教育行政としてその努力をすること。

B教員が余裕をもって児童・生徒と接することができるようにするために、教育課程開発 実践推進校の委嘱を極力押さえ、その発表を簡素化すること。市独自の実践推進校につすること。また、各種研究会に伴う校長の講師依頼などの相互の交換出張を とりやめ、校長は自校の教育活動に専念させること。市教委の2002年度の回答「教 育内容・方法の充実・改善にかかわる教育水準や研究水準の維持・向上を図る」ための 教職員の長時間勤務・過重負担をなくすこと。

C上記Bの趣旨に基づき、教育課程開発実践推進校における教員の繰り返しの授業研究へ の参加による数十時間の欠課をなくし、子どもたちの学力を保障し、不利益をもたらさ ないこと。

D市の教育課程開発実践推進校の委嘱は、たてまえの上では、各学校の総意に基づいて自 主的に応募してきた学校に市教委が委嘱するとなっていますが、実態は管理職の一方的 導入であったり、校長会等で順番として強要されて、教職員はやむをえず引き受けざる を得ないことが多々あるのが実態だという認識にたって、文部科学省指定以外は一時中 止すること。

E横浜市の教育水準を引き上げるためには、教育課程開発実践推進校という外向けのもの ではなく、校内で互いの相互批判による研修の方がはるかに優れています。このような 研修の場合、講師を教職員の要望を生かして多方面から求められるように講師謝礼費を 予算化し、各校に配付すること。新しい項目の予算化は困難でも有効なものには予算を 配当する勇気が必要です。

F初任教諭は、初任者研修のため校内・校外の研修を受けねばならず、子どもたちとの交 流がうまくできなくなっている現実が生まれています。また、「荒れ」た学級になるな ど、希望に燃えて教職についた初任者が希望を失う大きな理由にもなっています。この ように初任者が初任者研修に苦痛を感じています。この現実をよく考え、初任者の要望 を聞いて、その解消のため、次の処置をとること。

*研修内容を精選し、校外での課業中の研修回数を減らすこと。

 *そのために、長期休業中の研修回数を増やさないこと。
 *校内研修に重点を移し、各学校による研修について、財政的な保障を含め、その研修  を援助すること。

 *校外研修が学校行事と重なり、学校行事への準備、本番、反省と一連の教育活動に参  加できないことなどがあり、最も大切な現場での研修が中途半端になっています。し  たがって、それらの不備を補うために、初任者が研修を選択できるような余裕を与え  ること。

G横浜市教育委員会以外の他の部局からの各学校への研究委嘱の状態について調査し、そ の実態に基づき、他の部局と話し合って、それらの委嘱を縮小し、教職員の負担を軽減 すること。

H子どもたちと教員の余裕を保障するために、市の各種連合行事を全廃もしくは縮小する ための検討をすること。

I中学校の市体育大会と同様に小学校の市体育大会を全廃・縮小の方向で見なおすこと。J小学校の市体育大会をどうしても実施する場合は、雨天等による延期のための予備日を なくし、中止とすること。横浜国際競技場を使用するためか、予備日が非常にはなれて いて、雨天延期の場合は、市体育大会、学校の運動会、予備日用と時間をおいて何回も 練習するなど、子どもと教職員に大きな負担をかけて、教育課程を大幅に変更せざるを 得ない状況を生み出しているからです。

K国連の「子どもの権利委員会」からの日本政府への勧告の大事な一つは、「極度に競争 的な教育制度によるストレスのよるの発達上の障害」の解消です。高校入試制度を中心 とした詰込み競争主義教育が学校の中でどのようになっているか、その実態を調査し、 それに基づき、そのような教育の改善をはかること。


L卒業式のあり方について、各学校で研究工夫されてきています。それは、卒業式を最後 の授業と位置づけ、児童・生徒と教職員、保護者が一体となって、創造的な卒業式にし ようというとりくみです。そうしたとりくみを保障するために、「国旗・国歌」法が成 立したことを理由に、形式的な卒業式の観念を各校に押しつけ、「日の丸」「君が代」 を機械的に強制しないこと。日本国憲法が保障している子ども・保護者・教職員の「思 想・良心の自由」を保障することを第一とし、卒業式・入学式のあり方はそれぞれの学 校の創意工夫にまかせること。

M学習指導要領について、「告示」だから「法規としての性格」ということは無理があり ます。戦後教育の地方分権化の精神に反し、戦前の中央集権の教育を志向させる過ちが あります。今また、地方分権が言われている時代であり、地域に根ざした教育のために 市教委の自主的に果たす役割が大きくなっているだけに、その根本での民主教育の実現 に向けての認識を明確にする必要があります。学習指導要領は大綱的な基準であり、各 学校の教育課程作成の資料として扱うべきで、学校外からの政治権力の介入を許さず、 市教委の権威を確立すること。規制緩和の時代なので、学校で子どもを中心に考え、積 極的な教育活動には介入しないこと。

N「日の丸・君が代」はあくまでも各学校の教育の問題としてその学校の自主的な判断に 任せること。また、「日の丸・君が代」の実施状況の調査をしないこと。

O学習指導要領の変更に伴う各学校が教育課程を作成するにあたって、地域に開かれた学 校づくりをめざし、教育の条理に基づいた教職員の自由で柔軟な考え方を尊重し、学習 指導要領や「新よこはま教育プラン」などで、形式的な枠にはめないこと。

P03年度に一部の学校で試行している2学期制について、市教委は突然に04年度から 全校で実施ということを新聞で発表をしました。しかし、試行校では前期も終了してお らず、またその試行の報告がまったくなされていないため、各校にいらない混乱をもた らせました。市教委のその責任は重く、学期制についての発表について撤回し、次のよ うにすること。

*現在の試行校は、2004年度のはじめに結果報告をすること。また、現在の試行校  で希望する学校は2004年度も試行すること。

*その他の学校については2学期制は2005年度からとし、実施について強制せず、  各校の判断に任せること。

Q教科書採択にあたっては当然のことであるが、直接教育にかかわる教職員の意見を反映 できる制度にすること。教育委員の責務は直接に教科書採択事務をするのではなく、憲 法・教育基本法に則り、教職員・保護者(市民)の意見を汲み上げて、子どものすこや かな成長を期するように、教職員の民主的な内容ある研修を奨励する仕組みをつくるこ とであり、その実現に努力すること。また、保護者・市民の教科書についての意見を収 集できるような仕組みをつくること。

R出張旅費の増額を県に強く要求すること。

S児童・生徒の日常生活にかかわる「きまり」「校則」について、子どもの権利条約の観 点から総点検し、その改変に取り組むように、教職員に呼びかけること。その場合子ど もたちの意見を取り入れる道筋を考えることを指摘すること。
 
 
6)小学校給食の充実と中学校給食を直営自校方式で実現させること。
 
@学校栄養職員を他市町村と同様に市費職員を含め、各校に専任で1名ずつ配置し、学校 栄養職員1名による2校勤務を中止すること。

A現在実施されている小学校給食の安全の確保と内容の充実のために、調理員を正規職員 で、100食を基準に多くて120食に1人の調理員を配置すること。

B学校給食は、単に栄養価のある昼食の提供にあるのではなく、食文化の問題として、給 食の献立はもちろんのこと、食事作法、雰囲気などあたたかい友達関係のもとで、みん なで食事をするということから、ランチルームなどの条件をつくること。

C小学校の学校給食の民営化を目途に、2003年9月の2学期から、2校の試行校を決 めて実施していますが、学校給食法に基づき、横浜市の責任で、「自校直営方式」を堅 持すべきです。今までどおり「自校直営方式」によって学校給食の充実をはかること。

D学校給食法の趣旨を積極的に受けとめ、中学校給食実現のために、「中学校給食実現プ ロジクトチーム(仮称)」を教育委員会内につくり、直営自校方式による完全学校給食 を中学校で実現するように努力すること。中学校にはたまたま弁当を持ってこられない 生徒ではなく、常時持ってこられない生徒たちがいることを認識し、食事における差別 をなくし、平等な関係のなかで生徒たちがすごせるように、各中学校では日夜努力して いるので、中学校の完全給食を実施すること。

E全県で横浜市だけが実施していない中学校における牛乳給食を早急の問題として200 4年度より始めること。

Fどうしても弁当を持ってこられない生徒のために、現在、業者による弁当販売をおこな っていますが、これはあくまでも緊急避難的な措置であり、このような措置を早期に中 止し、学校給食法に基づいて自校直営方式による完全給食を実施すること。

G現在、中学校にパンの自販機をおいてあるところは、早急に撤去すること。この自販機 にからんだ問題も生じているようであり、教育の現場から「金」にまつわる不祥事がお こらないようにすること。

H給食室の改善にとりくみ、ドライシステム方式に切り替えているようですが、そのテン ポをあげ、各校の改善予定年度について通知すること。また、エアコンを設置し、調理 員の健康を守ること。

I二階以上の各教室への配膳の安全を確保するため、ワゴンが使用できるように、リフト をつけること。特に、校舎改築にあたってはリフトを必ず設置すること。市教委はリフ トの設置を考えていないと述べていますが、リフトがないことによる教員、子どもへの 負担が非常に大きいという実態を調査し、考え方を改めること。エレベーターを使用す ればいいというようなものでなく、全校にリフトを設置することが大事なので、エレベ ーター使用を考えているならば、全校にエレベーターを設置すること。

J給食会購入の食材の利用を学校の選択制とし、各校ごとに食材の購入ができるようにす ること。そのために学校栄養職員を各校に配置すること。

K食材の運搬費は、公費負担とし、給食の内容を一層よいものにすること。
 
 
7)子どもたちの放課後を豊かにするために他の部局とも協力すること。
 
@市教委として、子どもたちの放課後の生活まで責任をもって、文化的施設、運動的施設 を各所に設置し、子どもたちが、いつでも楽しく遊べるようにすること。

A他市町村と同様に子どもたちが専用に使用できる文化的・体育的施設・設備を備えた児 童館を建設し、そこに専門の指導員・相談者を配置し、子どもの要求に応えるようにす ること。

B市当局は、児童館にかわるものとして地区センターをあげていますが、その設置の目的 が違うので、指導員・相談員がいません。地区センターの利用が中心ならばそのための 人的配置として指導員等の配置をすること。

C現在、小学生のための施策として、市民局扱いの児童福祉法に基づいた「学童保育所」 と市教委の独自の施策による「はまっ子ふれあいスクール」の二つがあります。学童保 育所は施設の確保に苦労し、学校施設の利用を要請していてもほとんど許可がでない現 実である一方、後からできた「はまっ子ふれあいスクール」には学校施設の利用を許可 しています。これは、公平・平等の原則に反していて、学童保育所を利用している子ど もと保護者に大きな負担をかけています。したがって、学童保育所にも学校施設の使用 を進めたり、敷地内に学童保育所を新設したり、施設費の補助を行なうなど、公平・平 等の原則にたって、子どもの放課後の生活を保障し、同時に保護者の経済的な負担を軽 減すること。
 
 
8)教職員が健康で生き生きと教育活動に専念できるように条件を整備すること。
 
T)教職員の賃金・勤務時間等の問題
 
@臨時的任用職員(教員)や非常勤講師の賃金等、労働条件を改善していくこと。途中採 用の多い臨任職員は、通勤手当などが支給されず、自費で通勤するという不利益をうけ ているので、実質勤務日で計算し、通勤手当等を全額支給し、その不利益をなくすよう に、県に強く要求すること。県が支払いをするまでは、市の責任としてその不利益をな くす措置をとるよう、市教委自身の責任ある回答をすること。

A臨時的任用職員(教員)や非常勤講師の賃金等は、療養休暇等の補充の場合、法律上採 用が短期間になることが多く、不利益を受けているので、その採用を最低でも月単位と してその賃金等を保障すること。

B採用試験が毎年7月半ばのため、学期末の成績処理の時期と重なり、現職の臨任職員や 非常勤講師はまじめに教育活動に取り組んでいるため、受験準備もできず受験するとい う不利な条件になっています。臨任職員や非常勤講師で現職にある人で、正規採用を希 望する人については、地公法22条6項に違反しない方法で勤務実績を反映させるなど の工夫すること。また、採用試験の時期について工夫すること。

C教職員の勤務時間については、労働基準法どおり、午前、午後の休息時間と昼の休憩時 間がとれるようにすること。

D教職員の勤務実態について調査し、その実態を明らかにすること。その実態に基づいて 上記Cの実現のために、人的配置を行うこと。また、労働厚生省の通達(2001年4 月)に基づき、教職員の超過勤務についてもその実態を調査し、その改善をすること。

E教職員が休息・休憩がきちんと取れるように、各学校の施設・設備を整備すること。

F教職員には、教材研究や授業に必要な準備のために膨大な時間が必要であり、その時間 は本来、勤務時間内に確保すべきです。横浜市教育委員会は、教職員が教材研究等の時 間を確保するための措置をすること。

G測定可能な超過勤務に対しては、労働基準法36、37条の適用を復活させ、時間外手 当の支給をすること。法的に不可能な場合は、別途支給できる方法を検討すること。

H教職員の休日にあたる土曜(午後・第2・4土)、日曜、祝日の部活動については、県 予算より特殊勤務手当が一部支給されています(現行は県費で一日750円、特定の大 会への引率一日2100円)が、その増額を県に働きかけると同時に社会的妥当な金額 を市費で補充して支給すること。当面、公式戦等の引率には、少なくとも1時間につき 1000円の謝金を支給すること。こうした実態について、機会あるごとに市民に意識 を喚起すること。

I修学旅行など宿泊行事の付き添いは、特殊勤務手当が支給されていますが、全日勤務に なる業務としては社会的に妥当性を欠いているので、その補充として謝金を市費で支給 する方法を検討すること。

J小学校の宿泊行事には、教職員数の不足から他学年から応援の教職員が参加することが 常態となっています。そのため応援教職員の学級が結果的に自習時間が多くなったり、 教職員が回復措置をとらずに良心的に自習時間を少なくしようとしたりしています。こ のように子ども・教職員に負担をかけないように、行事には市教委の責任で指導員を必 ずつけて解決すること。
 
U)子どもたちを主人公に!
              のための人事の民主化を。
 
@毎年数千人の教職員の異動人事があるということは異常な状態と考えられます。教職員 の人事異動を学校組織の活性化といっていますが、活性化どころか停滞さえ起こってい ると考えられます。1校の在任期間を10年を最高としていまるため、平均6〜7年で 異動するということになり、横浜市の教職員は4年間でほぼ全員が異動するという状況 をつくりだしています。このことは、行政が学校を地域から切り離し、地域に開かれた 学校になりにくい状況をつくりだしています。人事異動をすれば学校が活性化するとい う単純な考え方を排して、異動人事について抜本的な方針の転換を求めます。現在のま までは、落ち着かない学校の状況をつくりだし、「いじめ」や不登校、「荒れ」のもと になります。現在のいくつかの学校の荒れの原因の一つはこうした短期間の教職員の異 動人事により地域と結びついた教育の実践が困難にさせられていることにあり、行政側 にその責任があると言えます。そのための解決策の人事異動として、次のことを検討さ れたい。

*教職員の意見を最大限生かすこと。

*同一校勤務を最大15年前後とすること。(初任者は初任校を6年以内とし、いくつ  かの学校を経験すること)
 
*
学区内、同区内等の異動は本人の希望によること。

*通勤時間を1時間以内になるようにすること。

*教職員は、54歳以後の異動を強要しないこと。(勤務年数に関係ないこととする)A異動については、教職員が次年度の教育活動の準備を保障するため、第一次紹介を2月 初旬とし、3月上旬には原則的に終了させること。

B人事異動に関して、転任希望カードには、教職員は3区までを指定できるものとするこ と。ただし、障害児学校の教職員は3校を指定できるものとすること。

C上記@と同様に、校長の在任期間も非常に短く、3年以下になっています。そのため、 校長の姿勢は保身的になり、在任中の問題発生を恐れて命令的になったり、消極的にな ったりする傾向にあります。教育は、命令で行なわれるものではなく、教職員相互の協 力・協同に基づき、自由と人権が保障されている職場で、一人ひとりの教職員が、自主 的、全人格的な判断がなされるなかで実践されるものです。その場合、校長の位置は重 要です。校長と教職員が対等な立場で協同して学校運営に当たっていけるようなリーダ ーシップを発揮できる人格の校長が要請されています。したがって、校長は学校に密着 した学校づくりに努力する必要があり、そのために、校長の在任期間を長くし、教職員 と協同して学校運営ができるようにすることが大事です。

D現在の副校長の勤務実態は午前7時前後から午後7時以上というのが常態という長時間 勤務になっています。出張の多い校長の職務を代行していることもあり、その無権利状 態は甚だしいものがあります。このような無権利では、教職員・子どもの権利について の意識が弱まります。校長は、出張を極力少なくし、校長としての本務を遂行し、副校 長の仕事の軽減をはかり、副校長は、授業をもつなどして子どもたちとの関係を深め、 教育的力量・識見を発揮して、校長とともに教職員との協同・連帯に寄与し、学校づく りの中心として各校の教育の向上にはかるようにすべきです。その立場から副校長の勤 務実態を調査し、勤務時間の短縮をはかり、人権を保障すること。

E前記Cに関連して、管理職の登用に当たっては、各学校の中心となって、常に教育活動 の先頭に立ち、教職員・保護者市民の意見を聞いて、協同の立場がとれる教育哲学をも った人であることを基準とすること。また、現行の管理職登用基準を全教職員に配布し て、管理職のありようを教職員全員が検討できるようにすること。当然、情実のはいる ことのないようにすること。

F各校での研修のための予算を新しく位置づけ、活性化のためにも各校に学校裁量で支出 できる研修活動費(研修会講師料・資料収集等旅費等)を配当し、教職員が有効な研修 ができるようにすること。市長部局に教育は金がかかるものだという認識の変更を迫る ような、積極的な予算要求をすること。

G一般教職員の日常の教育活動への努力を認め、定年退職に当たって、昇任退職制度を設 けることを検討すること。

H退職者に対する、現在行っている再就職の紹介等は、退職者全員に平等に知らせ、その 生活の保障をすること。

I年金支給年齢の引き上げに伴い、退職者の退職後の生活を保障するために、教職員への 再任用制度が実施されましたが、定数内の職員とすることなく、市教委は65歳を限度 に非常勤職員として、各学校に1名以上の配置をすること。その職務は各学校の要請に より、図書館指導、授業準備作業、保健活動補助、学校事務補助などを行うものとする こと。
 
V)教職員が健康で元気に教育活動に参加で    きるように、教職員の健康と安全を守る    こと。
 
@横浜市教育委員会は、教職員の健康と安全を守る立場から、労働安全衛生法に基づいた 要綱をつくりました。それを実のあるものとするために、各学校における衛生委員会の 活動が期待されます。衛生委員会の望ましい活動のために、だれもが衛生管理者になれ るように、その資格をとれるための研修講座を設けること。

A労働安全衛生法に基づいて、各校衛生委員会に産業医を配置すること。それまでの間、 横浜市立学校職員衛生委員会の産業医を各校を巡回させ、各校の衛生委員会と懇談・意 見の聴取をすること。また、産業医が独自に各校の実態を調査し、その内容を公表する よう、要請すること。その報告書は各校に配付し、職場環境整備の市教委の責任を明確 にすること。

B労働安全衛生法に基づいた教職員の健康管理の充実のために、当面、教職員の一日検診 を30歳から毎年受けられるように見直しをすること。また、その検診項目に、超音波 による検査、腰痛、更年期障害、嗄声の検査などを加えて、その充実をはかること。女 子職員には子宮体ガンの検診を加えること。

C障害児教育に携わる全教職員を対象にした腰痛検査を適用すること。

D人間ドックは、公立学校共済組合神奈川県支部の所管事務になっているので、教職員の 健康を守るために、市教委は全教職員が人間ドックが受けられるように、強力に要請す ること。あわせて、補助金の拡大をはかること

E一日検診・人間ドックと関係させてレントゲン撮影を実施するようになったので、間違 っても児童・生徒に肺結核等の感染をさせないために、その意味を教職員に徹底させ、 期間内に全員が受けられるように条件整備をし、各校が計画的に実施できるようにする こと。また、未実施がないように、点検を確実にすること。また、検診等の内容や病院 側の受け入れ態勢等について、教職員の要望を調査して、その改善をはかること。

F妊娠時授業軽減措置の代替を対象者1名につき1名を配置すること。盲・ろう・養護学 校・個別支援学級についてはその職務の実態に応じた時間数を拡大すること。県が措置 するまでの間、市の責任で配置すること。

G厚生活動は、本来雇用者責任でなされるべですが、それがあいまいにされています。そ の責任において教職員の希望を調査してその充実をはかること。

H永年勤続者のリフレッシュ休暇について、永年勤続者職免に加えて、県の「リフレッシ ュ休暇実施要領準則」を適用させること。また、必ず代替者を配置し、安心してリフレ ッシュできるようにすること。取得期間を1年間とし、余裕をもってとれるように至急 改善すること。

I退職者の辞令交付式において、退職者に対して相変わらず敬称なしで名前を呼んでいる が、礼を失していると考えるので、「さん」の敬称をつけて呼ぶこと。各学校における 卒業式などでも「さん」づけが一般化している現在、敬称を省略することは時代に遅れ ているといわざるをえません。辞令交付式が大時代がかっているために参加者が少ない ことを考慮し、退職者中心にあり方を変更すること。
 
W)人権と生き生きした教育活動を保障する    ために、管理主義的な教職員管理をやめ    ること。
 
@新しい勤務評定、新人事評価制度は、管理主義に基づくものです。教育の原点に立つな らば、教育活動では、教職員の創造的な活動が奨励され、教職員の協力・共同の関係が 期待されるものであり、勤務評定制度は教育活動には不適なものなのであり、廃止する ことが正しい判断です。まして、国連の「子どもの権利委員会」の子どもの権利条約に かかわる勧告の大事な一つに競争主義教育・管理主義教育の改善であるので、その競争 主義教育、管理主義教育を強化するような教職員への新人事評価制度は、直ちに廃棄す ること。

A教職員の管理体制につながる学校管理規則を撤廃すること。

B教職員の啓発は職場の民主的な関係の中で、相互の自由な討議によってなされるべきで あり、各職場での教職員の連帯と協力・共同の感情を否定することにつながるような条 件を排除することが行政の第一任務です。横浜市の子どもたちのために、子どもたちが 瞳を輝かせるような、教育条件をつくりだすことを要請します。
  
 
 
 
 
 
 
 

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