2002年度の横浜市教育予算に関する要求書を10月25日に横浜市長、横浜市教育委員会教育長へ提出し、回答が得ました。 横浜教職員の会の要求書と 横浜市の回答を見やすいように項目別に文字色を変えて、示してあります。横浜市の回答は文書でのものをホームページ用に横浜教職員の会の事務局で入力したものです。 |
横浜市市長 高秀 秀信 様
横浜市教育委員会 教育長 太田 和彦 様
子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会
会長
「子どもの権利条約」を反映した
2002年度横浜市教育予算編成に関する要求書
は じ め に
30人以下学級実現は解決すべき焦眉の問題
戦後、日本は初めて基本的人権を明記し、国民主権・戦争放棄を宣言した憲法をもちました。そのもとで教育基本法が制定され、子どもたちを主人公に、二度と再び戦争をしないことを誓う平和教育を重んじ、各個人を権利主体として正しい判断ができるように、日々教育が行われてきました。教育行政は、戦前の文部省・内務省による国家主義的な教育から「個」を大切にする民主主義教育の実現をめざして、地方自治体によって教育の施設設備の充実・教職員の配置の充実など教育条件の整備をする制度に変わりました。
しかしながら、一方、この50年間、基本は憲法・教育基本法に基づきながら、自民党やそれにつながる財界などの一部勢力の政治のもとで、憲法・教育基本法はないがしろにされ、学校教育は競争主義により、制度的にも内容的にも子どもたちを苦しめるものとなってきました。また、地方教育行政は戦前をひきずったまま、文部省に従った中央集権的教育を推進してきて、文部省に従属したものとなっきました。それは民主教育を求める市民の要求とそれを押し止めたい支配者側の教育要求との競合を表しています。
この教育の問題の第一の責任は政府にあります。憲法・教育基本法に反した教育行政をやってきたため、「子どもの権利条約」に関連する国連への政府報告に対し、国連の「子どもの権利委員会」は、実に48項目にわたる厳しい「懸念、勧告と提案」を政府に示して、その改善を迫っています。現在の教育は、憲法・教育基本法・子どもの権利条約を根幹にして行われるべきものです。その「子どもの権利条約」のもっとも大事なことは、子どもを権利主体として認め、その上にたって、子どもに「最善の利益」をもたらす教育を用意することです。教育行政はその実現のためにあり、それはまた、子どもの意見表明権を認め、子どもたちを社会の一員として正しく位置づける教育政策の策定であり、教育環境の整備であり、子どもを主人公とした学校教育の実現です。勧告の中で最も厳しいものは、競争主義教育、詰め込み教育をやめ、子どもたちのストレスの解消についての勧告です。つまり、競争主義教育・管理主義教育に終止符をうつことを勧告しているのです。
完全五日制の中で、次期学習指導要領においてもこの競争主義教育の解決の方向になっていません。そのなかで、横浜市教育委員会は、「ゆめはま教育プラン」「新よこはま教育プラン」を策定し、各学校にその実現を呼びかけているので、各学校がその教育課程作成にあたって、父母・地域、子どもたちの願いをまとめ、教職員と一体となって、自主的に教育課程が作成がなされるよう、予算措置をすることが大事です。特に父母・市民が強く望んでいる30人学級実現に向けて、横浜市の責任で教職員を増員させる予算措置をとる必要があります。横浜市教育委員会のもっとも大事な仕事はこのような市民・子ども・教職員の願いを実現させるために努力することです。
私たち横浜教職員の会は日頃より子ども・教育を守り、教育活動に専念し、大きな努力を払っている教職員の組織として、以上の立場にたって教育から発信する民主主義社会建設を基本に、いかなる政治権力の教育への介入を排除し、教育の論理にしたがって横浜の子どもたちすべてが、人間として生き生きと生活ができるように、以下の各項目・内容の実現を求め、教育予算を大幅に増額することを要求するものです。
市広聴第103042号
平成14年6月28日
子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会
会長 様
横浜市長中田宏
2002年度横浜市教育予算編成について(回答)
さきに要求(2001年10月25日)のありましたことについて,大変遅くなりましたが,次のとおり回答します。
要求項目
1.「子どもの権利条約」そのものの実現を巡る要求
1 「子どもの権利条約」の普及と理解を深めるために、現在ある児童・生徒用「子どもの権利条約」解説パンフの改訂版をつくること。そのために、子ども、教職員、市民の意 見を聴取すること。
@「子どもの権利条約」解説パンフの改定については,今後検討していきます。
2 「子どもの権利条約」を市民に徹底するため、市民向けの解説パンフレットをつくり、地方自治体としての責任をはたすこと。
A本市では,講演会等を通じて権利に関する啓発に努めるとともに,各局の事業の中で権利条約の内容について啓発推進を図っています。
3 「子どもの権利条約」の重要な位置づけを明確にして、子どもたちに直接かかわる教職員をはじめ、保育園保育士、学童保育の指導者などのための「子どもの権利条約」の理 解を深めるために研修の機会をつくること。
B保育所職員を対象とした人権研修を実施し,周知徹底しています。
4 「子どもの権利条約」に基づいた施策のため、「子ども課」(仮称)を設置し、乳幼児から高校生までの子どものための総合的政策を策定すること。それは、子どもたちのた めの地域での生活環境全般に及ぶもので、その立場で「ゆめはま2010プラン」を再 検討すること。その際、施設・設備の設置と人的配置などについての壮大な施策実現の ための予算をつけ、実行すること。
C青少年の健全育成をはじめ横浜市の青少年施策の基本方向と重点課題への取り紐みを明らかにし,地域と行政が一体となって青少年育成を進めるための指針となる「青少年プラン」の策定を行います。
5 「子どもの権利条約」を横浜市で実現するために、「横浜子ども権利条例」(仮称)を策定すること。
D従来から本市の青少年施策は,手どもの権利の尊重を基本としつつ心身の健やかな成長を図るという基本的な考えのもとに推進しています。具体的には,「横浜市人権施策基本指針」に基づく人権施策の推進や,青少年施策推進本部等の全庁的な組織を通じて総合的に施策を推進しています。
6 ピースメッセンジャー都市協会の副会長都市として、2001年度総会の横浜アピール全文を市民に紹介し、平和への願いを横浜市から国の内外に発信するために、全市民的 な運動の恒常化をはかること。そのためにも、横浜大空襲の5月29日を「横浜平和の 日」として制定すること。
E2001年ピースメッセンジャー都市国際協会横浜総会における「横浜アピール」,「横浜子どもピースアピール」については,市のホームページに掲載しています。
また,横浜市では,平成5年度以来毎年,9月第3火曜日の「国際平和の日」などにあわせて,市民の皆さんと共に平和について考える行事を開催しています。今後も,ピースメッセンジャー都市としてこれらの事業を引き続き実施するとともに,国際協力と国際交流を推進し,相互理解を促進することにより,世界の平和と発展に貢献していきます。
7 ピースメッセンジャー都市の目にみえる活動として、横浜市内各地に残っている戦争遺 跡を保存し、表示板を設置すること。また、平和のための戦争遺跡マップを作成し、児 童・生徒の学習に役立てるようにに配布すること。
F戦争遺跡を含む近代の遺跡については,文化庁が全国的な調査を行っていますので,文化庁の調査を見守っていきたいと考えています。
8 「都市発展記念館」(仮称)内に重要な位置づけとして平和のためのコーナーを設け、平和のための諸物品・資料の展示・保存・収集すること。また、平和教育のための資料 を貸し出し、提供できるようにして、学校における平和教育の一層の充実に努力するこ と。
G都市発展記念館(仮称)は,開港期から現在に至る都市横浜のまちづくりの歩みを振り返ることができる施設として整備を進めています。
9 私たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」は、登録された団体ではありませんが、法の正しい解釈に基づき、教育公務員の職員の団体であることにより、横浜市 教育委員会と交渉できる権利を有しているので、交渉の場を持つこと。そのために、私 たち「子ども・教育・くらしを守る横浜教職員の会」の要求書について、予備折衝も含 めて、いつ、どこで、主として何について、どのような形式で話し合うのか、について 両者で話し合って決めること。
H地方公務員法においては,登録を受けた職員団体から適法な交渉の申し入れがあった場合において,その申し入れに応ずべき地位に立つものとされています。
2.子どもたちに『最善の利益』をもたらす施策をとること
1 今回の法改正に基づき、30人以下学級の実現が横浜市の決断で可能になったことをうけて、子どもたちの『最善の利益』のために、横浜市の予算に基づいて教職員を配置すること。横浜市独自の学級規模の縮小には次のような方法も検討すること。
a 小学校1年生から年次計画に基づいて実現する。
b 35人学級から始める。
c 30人学級をめざし、39人学級から始め、年次計画で1名ずつ減じる。
d 小学校1、2年生のみを30人以下とする。
2 国、県に対して、30人以下学級の実現のために、横浜市として、国・県予算の増額などを引き続き、強く要請すること。
@A公立義務教育諸学校の学級編制基準については,法律の規定により神奈川県教育委員会が定めることになっており,本市独自で決定できるものではありません。
国及び県の動向を見守っていきたいと考えています。
3 30人以下学級実現のため、教職員定数の配当基準の大幅な改善をするよう、現行の「 第7次公立義務教育諸学校教職員配当改善計画」を早期切り上げ、「第8次改善計画」 をすみやかに策定するよう、国に要請すること。
B「第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」(以下「改善計画」という。)の円滑な実施については,県に伝えていきます。
4 義務教育に対する国庫負担制度の一切の削減に反対し、その拡充を国に要請すること。 その立場から、学校事務職員・学校栄養職員の給与の国庫負担制度の堅持を引き続き国 に要請すること。
C事務職員,学校栄養職員の給与国庫負担については,国に対して要請しています。
5 現在、6年生については、児童・生徒数が減少しても県予算で前年度と同数の学級としています。この施策は、子どもたちに安心感を与えるすぐれたものです。したがって、どの学年の子どもも安心して学校生活が送れるように、すべての学年で学級数を減らさ なくともいいように、神奈川県に強くその実現を迫ること。
D学級編制については,県教育委員会が定めた基準に従い,4月5日に在学する児童・生徒数をもって行うとされています。
なお,小学校5年生から6年生に進級する際の特例措置の継続については,県に伝えていきます。
6 横浜市では、定数内の臨時的任用職員(小・中教員)が725名(8月1日現在)にも及び、学校によっては3〜4名の臨時的任用職員が配置されていることもあり、これは異常事態です。こうしたことは、学級数の把握を教育の目線ではなく、管理のためにの みみていることから生じることで、失政といえます。学級数確定期に各学校長とよく相 談して学級数を予定し、その結果、学級数の減があっても市教委が責任をもって対処することを前提に、学校長の報告の学級数で教職員を配当し、臨時的任用職員の配置を避 け、臨任職員数を100名以下におさえること。
E小・中学校の学級数が毎年変動する中で,過員を出さず,安定した教員採用を行うためには,長期的な見通しの中で,ある程度,臨時的任用職員による対応が必要と考えていますが,臨任数の削減については,努力していきます。
なお,公立小・中学校の学級編制については,法律の規定により県教育委員会が定めることになっています。県の定めた基準では,4月5日に在学する児童・生徒数をもって行うこととされています。
7 臨時的任用職員(教員)が前記6のように多いため、学年途中での臨時的任用職員や非常勤講師の配置が難しい状況があります。子どもたちに担当者がいないという状況をつくらないように、横浜市としてすぐに配置できる体制をとっておくこと。
F小・中学校の学級数が変動する中で,過員を出さず,安定した教員採用を行うためには,長期的な見通しの中で,ある程度,臨時的任用職員による対応が必要と考えていますが,臨時的任用職員及び非常勤講師の円滑な配置については,努力していきます。
8 養護教諭、学校事務職員の数は把握しやすいので、定数内の臨時的任用職員を完全になくすこと。
G臨時的任用職員の削減については,引き続き努力していきます。
9 「いじめ」「不登校」など、子どもたちの悩みなどに応えるため、すべての学校に複数の養護教諭の配置を強く県教委に要請すること。県が配置しない場合でも、市教委の責任で実施し、困難な学校から順次配当していくこと。
H「改善計画」の円滑な実施について,県に働きかけていきます。
10 子どもたちの悩みに応えるため、カウンセラーの各校への配置を検討すること。同時に保健相談室を設置し、いつでも子どもの相談に応えられる態勢をつくっておくこと。
Iカウンセラーの各校配置については,スクールカウンセラーの配置拡大を図るとともに,スクールカウンセラーの配置されていない学校を中心に,各区の学校カウンセラーが引き続き学校巡回を行うことで対応していきます。
さらに,保健相談室の設置については,改築や余裕教室の活用等整備に向け努力していきます。
11 12学級以上のすべての学校に学校事務職員を複数配置すること。
J困難です。
12 小学校専科教員を各校にあと1名配置するために、横浜市教育委員会として非常勤講師を採用すること。
K困難です。
13 小学校の小規模校に配置している補助員を、11学級以下の条件を改定し、学年に関係なく単学年のある学校には、12学級以上の学校にも配置できるようにすること。
L小規模学校運営補助員の配置は,あくまでも「11学級以下の小規模校」を対象としていますので,適用範囲の拡大は困難です。
14 中学校の免許教科外教科の解消のための教員の配置は引き続き行なうこと。
M引き続き非常勤講師の配置は行っていきます。
15 学校図書館への司書教諭の配置が決まったので、国の実施に先立って専任の司書教諭を 確保しておく意味も含め、市の責任で司書教諭を定数外として配置をすること。
N「学校図書館法」の改正により,平成15年度から,12学級以上の学校に司書教諭を配置することとなりましたが,配置のあり方等については,まだ定められていませんので,今後の国,県の動向を見守っていきます。
A<障害児学校に関すること>
1 養護学校の大規模化解消と地域性のある学校づくりをすすめること。横浜市の南部方面に高等部をもつ肢体不自由養護学校を新設すること。
2 重度重複障害児の教育を更に保障するため、上菅田養護学校高等部中村分教室・北綱島 分教室・新治分教室については、それぞれ中村養護学校の高等部、北綱島養護学校の高等部、新治養護学校の高等部に移行すること。
3 重度重複障害児の教育を受ける権利を保障するため、東俣野養護学校に高等部を設置すること。
4 日野養護学校の校舎移転についての市教委の計画を公開し、進捗状況を明らかにするとともに、教職員、保護者、子どもたち、地域住民の意見を尊重して進めること。
5 障害の多様化・重度化を考慮して、学校の施設・設備の充実をはかること。
D従来から,障害に応じた施設整備に努めています。
6 養護学校小・中学校の教員不足の実態について調査し、必要に応じて教員を加配すること。
7 障害児学校に配置されている委託介助員の介助範囲を拡大し、遠足・校外指導にも付き添えるようにすること。また、その待遇を改善すること。
8 障害児学校の児童・生徒の通学時間を短縮するために、スクールバスを増車すること。
B<障害児学級・通級指導教室に関すること>
1 障害児学級の学級規模を6名以下として、1学級2名の教員を配当すること。また、小学校での学級編制については、低学年・高学年などの2学級以上の編制とすること。以上を国及び県に強く働きかけること。それまでの間、横浜市として、それに見合う教員 を配置すること。
2 障害児学級に重度障害児が在籍した場合には、横浜市の責任で教員を加配すること。
3 障害児学級を新規に開設する場合、施設設備費、備品費、消耗品費等の予算を十分に配当すること。
4 通級指導教室の自校通級を認めること。それまでの間、自校内で通級している児童・生徒がいる場合、市の責任で教員を加配すること。
C普通学級に在籍している場合は,通級指導教室の自校通級は認めています。
5 障害児学級・通級指導教室の担当教員の専門性を高めるため、研修の機会を保障すること。特に新設する場合は専門性のある教員を配置すること。
C<通常学級に在籍する障害児の教育に関すること>
1 通常学級で学ぶことが適切な障害児の「特別な教育的ニーズ」を明らかにし、教育条件を整備すること。
2 通常学級に障害児が在籍した場合には、その障害の実態に応じて、横浜市の責任で教員を加配すること。その実現までの間、横浜市の責任で非常勤講師を確保し、配当するこ と。
3 通常学級に配置されている介助員の日数を増やすこと。また、学校ごとに確保するのでは緊急の場合には対応できないので、市教委の責任で確保すること。
D<障害児の地域生活に関すること>
1 障害児の豊かな放課後を保障するため、学童保育やはまっ子ふれあいスクールで障害児を受け入れる場合は、施設の改善や人的配置を行うこと。
2 障害の重たい子の豊かな放課後を保障するための、それに対応する施設・設備、人的配置等を公的に保障すること。
3 障害児が、放課後や休日に地域の施設や地区センターを利用できるように、施設の改善や介助のための人員の配置を行うこと。
4 障害児の宿泊行事としても利用できるように各施設を改善すること。利用頻度の高い「三浦ふれあいの家」は車イスの使用にも対応できるように改築または改修するように引 き続き県に働きかけること。
Cご要望の趣旨を施設管理者に伝えていきます。
5 登下校中の災害に際して、障害児が安全に避難できるような対策を講じること。
6 災害時の避難所での障害児とその家族が安心して避難生活が送れるような対策を講じること。
E<障害者の雇用に関すること>
1 横浜市自身が障害者雇用を積極的に進め、一般企業にも雇用の促進を指導すること。
2横浜市の責任で視覚障害者をヘルスキーパーとして雇用し、横浜市職員の腰痛予防のために配置すること。教職員や給食調理員、技術員等が福利・厚生利用として利用できるように学校巡回を実施すること。
1 新設校及び建替え期にある校舎については、「子ども達の未来を拓く学校施設−地域の風がいきかう学校」(学校五日制時代の公立学校施設に関する調査研究協力者会議報告文部省教育助成局 平成11年7月)に基づき、教職員、地域、子とも達の声を反映させ、特に子どもの目線で考えるために子どもの意見を反映させて、校舎を改善・建設すること。
2 学校運営費を大幅に増額して、教育活動を豊かなものにしていくこと。
A学校運営に必要な経費は,従来から必要額の確保に努めているところです。
3 学校の特色づくり推進費などの前途金制度については、学校の実態にあわせて活用できるように弾力化をはかるとともに事務手続きを簡素化すること。
4 プール指導開始直前のプール清掃は業者に委託すること。当面、異常な負担を教職員や児童にかけている小規模校(12学級以下)については、緊急問題として、試行的にでも業者に委託すること。
5 事務の簡素化をはかるため、児童・生徒出席簿用紙に曜日等を印刷するなどの改善をすること。経費削減を理由に教職員に不必要な負担をかけないこと。
6 次のようなものの改善を急ぐこと。
a 小・中学校の体育時の更衣室、中学校の部活動時の更衣室(男女別)の設置年次計画を公表し、各学校に提示すること。
b 校庭の学校開放をしている場合には、外で使用できるトイレを早急に設置すること。
b校舎・体育館等に設置しているトイレを利用されるようお願いします。
c全校に相談室を設置すること。既存のものを使用する場合は内装工事を施し、児童・生徒が安心して来られる相談室設置のための年次計画を公表すること。
C保健室機能をさらに高めるため,整備に努めていきます。
d 児童・生徒が、豊かな気持ちで生活できるように、美しい環境の教室を提供するために、10年に1回は校舎内外の壁面の塗装工事が必要です。横浜市の塗装工事の年次計画を公表すること。
e 学童生徒用机のサイズが従来のままのため、大型化した教科書類を机上にゆったりと置けないので、文部省も進めようようとしている机の大型化の研究を始め、改善を急ぐこと。JIS規格で定められている場合は、その変更を求めるよう、各方面に働きかけること。
f 室の児童・生徒用ロッカーを大きくして、大きくなった教具類がきちんと整頓できるように新設校から実施すること。
f現状では困難です。
7 費負担の市教委の考え方を根本的に検討しなおし、義務教育は無償の原則にたって、父母負担を軽減すること。
a 標準学力テスト類は全廃すること。どうしても実施する場合は、学校の必要上行なうのであって、その費用は、公費負担とすること。児童・生徒が受ける利益は、教員の指導法の研修等によるもの、副次的であり、テストそのもののからの利益ではありません。
b 教育課程上必要とする高額で、短期間利用の物品、たとえば剣道着、柔道着等は学校に備え付け、貸与するなどの工夫をすること。
c 教育活動上、学校が決めて使用するもの、たとえば連絡帳(小学校)、生徒手帳(中学校)などは、消耗品費を使用するように各学校に指導すること。
d 芸術鑑賞行事の実態を調査し、各学校で実施している芸術鑑賞(児童・生徒数の減少により一人の負担が大きくなって中止する学校が増加している)などについて、情操教育の重視の立場から全額または一部を補助して、これらの行事の実施を保障するこ と。
8 教育課程に基づく教育活動上、必要とする諸施設の入場料・施設使用料については、児童・生徒は参加が義務づけられるので、全額公費負担とすること。また、地域の人々が教育に参加してくれた時の、地域協力者への謝金を予算化すること。
9 中学校の部活動、運動部の公式戦、文化部の公式発表会等で、大きな成果をあげ、公的にも認められていますが、それに参加する生徒の交通費(1回につき、1000円〜2 000円程度の交通費がかかる)は保護者の大きな負担となり、また、子どもの心理的な負担となっています。費用の面で参加のできない生徒が出始めています。子どもたちの活動を保障するため、交通費を公費負担すること。
10 部活動は教職員の大きな負担となっていることを考慮し、また、子どもたちが専門の指導者の指導が受けられる社会教育へ移行することを前提に、当面、技術指導者や審判員を学校の要請により依頼できるように、予算措置をすること。現在、実施されているものは維持しながら、一層その拡大に取り組むこと。
11 宿泊体験学習・自然教室について利用しやすい公的施設を更に増設し、利用しやすくすること。また、他都市の施設でも利用できるものがあれば各学校にしらせること。そのことで、父母負担の軽減をはかること。
12 宿泊行事については市費による看護婦を配置し、引率教員のもとで、子どもの病気・ケガなどで、医療機関とすばやく連絡をとるなど、子どもの健康と安全を守るようにすること。養護教諭は、児童・生徒の多く残っている学校で子どもたちの健康と安全を守ることに専念できるようにすること。
13 宿泊体験学習・自然教室などに引き続き交通費等の費用を補助すること。また、各校で同趣旨のもとで以前より実施し、大きな成果を上げているている修学旅行などにも同様の補助をおこなうこと。
14 学校災害の被害児童・生徒を救うために、国に対して無過失責任の「学校災害補償法」の制定を強力に申し入れること。
M学校災害補償法の制定は,一自治体の働きかけでは困難です。
その4 子どもたちに健やかで、心豊かな知性あふれる人への成長を保障すること
1 子どもを主人公・権利主体とする学校教育の実現のために、憲法・教育基本法・子どもの権利条約を基本に、教職員と保護者と子どもたちが協力できる学校づくりを推奨する こと。
2 学校教育が、一人ひとりの子どもを大切にし、学力を保障すると同時に心豊かな成長を保障するように、人的配置と施設・設備の充実に努力し、その教育活動を援助する教育行政を心がけること。
3 横浜市の研究協力校は、他都市の学校に比べて非常に多く、その研究発表会なども多いようです。教員が余裕をもって児童・生徒と接することができるようにするために、研究協力校の委嘱を極力押さえ、その発表を簡素化すること。市独自研究協力校については全廃すること。自主的な研究発表会は自粛させること。また、これらに伴う校長の講 師依頼などの相互の交換出張をとりやめ、校長を自校の教育活動に専念させること。市 教委の昨年の回答の「教育内容・方法の充実・改善にかかわる教育水準や研究水準の維 持・向上を図る」ことについては、子ども・教職員の長時間勤務・過重負担をなくす立 場から、研究協力校のあり方を再検討すること。
4 研究協力校においては、そのための繰り返しの授業研究への参加により、子どもたちが数十時間の欠課という不利益を受ける実態にあり、子どもたちの学力保障について問題が指摘されています。この実態を調査し、子どもたちの学習権の保障の立場から、研究協力校の授業研究のあり方を見なおすこと。
5 市の研究協力校の委嘱は、たてまえの上では、各学校の総意に基づいて自主的に応募してきた学校に市教委が委嘱するとなっていますが、実態は管理職の一方的導入であったり、校長会等で順番として強要されて、教職員はやむをえず引き受けざるを得ないことが多々あります。この実態を調査し、文部科学省指定以外は一時中止して、そのあり方について検討すること。
6 横浜市の教育水準を引き上げるためには、研究協力校という外向けのものではなく、校内で互いの相互批判による研修の方がはるかに優れています。このような研修の場合、講師を教職員の要望を生かして多方面から求められるように講師謝礼費を予算化し、各校に配付すること。
E講師謝礼費の新設は困難です。
7 初任教諭は、初任者研修のため校内・校外の研修を受けねばならず、欠課が多くなり、子どもたちとの交流がうまくできなくなっています。そのため、「荒れ」た学級になるなど、初任者研修が苦痛を与えています。その解消のため、次の処置が考えられます。
a 研修内容を精選し、研修回数を減らすこと。
b 特に、課業中の研修回数を減らすこと。またそのために休業中の研修回数を増やすことはしないこと。
8 横浜市教育委員会以外の他の部局からの各学校への研修委嘱の状態について調査し、公表すること。その実態に基づき、他の部局と話し合ってそれらの委嘱を縮小すること。
9 子どもたちと教員の余裕を保障するために、市の各種連合行事を全廃もしくは縮小するための検討をすること。
10 中学校の市体育大会と同様に小学校の市体育大会を全廃・縮小の方向で見なおすこと。
そのため、体育関係者の意向ではなく、教職員全体の意見を聞くこと。また、実施する時の横浜国際競技場の使用については、子どもが大事なのか競技場が大事なのか、芝生には、はだしでなければ入ってはいけないとか、使用させないとか、本末転倒のことをしているので、横浜国際競技場を使用しないこと。
11 国連の「子どもの権利委員会」からの日本政府への勧告の大事な一つは、「極度に競争的な教育制度によるストレスのたるの発達上の障害」の解消です。高校入試制度を中心とした詰込み競争主義教育が学校の中でどのようになっているか、その実態を調査し、それに基づき、そのような教育の改善をはかること。
12 卒業式についてのあり方が各学校で研究工夫されてきています。それは、卒業式を最後の授業と位置づけ、児童・生徒と教職員、保護者が一体となった創造的なとりくみとなっていす。それために、「国旗・国歌」法が成立したことを理由に、形式的な卒業式という観念で、機械的に「日の丸」「君が代」を強制するようなことをしないこと。日本国憲法が保障している子ども・保護者・教職員の「思想・良心の自由」を保障すること を第一とし、卒業式・入学式のあり方はそれぞれの学校の創意工夫にまかせること。
13 学習指導要領について、「告示」だから「法規としての性格」ということは無理があります。戦後教育の地方分権化の精神に反し、戦前の中央集権の教育を志向させる過ちがあります。今また、地方分権が言われている時代であり、地域に根ざした教育のために市教委の自主的に果たす役割が大きくなっているだけに、その根本での民主教育の実現に向けての認識を明確にする必要があります。学習指導要領は大綱的な基準であり、各学校の教育課程作成の資料として扱うべきで、学校外からの政治権力の介入を許さず、市教委の権威を確立すること。
14 「日の丸・君が代」はあくまでも各学校の教育の問題としてその学校の自主的な判断に任せること。
15 「日の丸・君が代」の実施状況の調査をしないこと。
N実施状況については,これからも把握していきます。
16 学習指導要領の変更に伴う各学校が教育課程を作成するにあたって、地域に開かれた学 校づくりをめざし、教育の条理に基づいた教職員の自由で柔軟な考え方を尊重し、学習指導要領や「新よこはま教育プラン」などで、形式的な枠にはめないこと。
17 教科書採択にあたっては当然のことであるが、直接教育にかかわる教職員の意見を反映 できる制度にすること。教育委員の責務は直接に教科書採択事務をするのではなく、憲法・教育基本法に則り、教職員・保護者(市民)の意見を汲み上げて、子どものすこやかな成長を期するように、教職員の民主的な内容ある研修を奨励する仕組みをつくることであり、その実現に努力すること。また、保護者・市民の教科書についての意見を収集できるような仕組みをつくること。
18 出張旅費の増額を県に強く要求すること。
L出張旅費については,県の所管事務となっています。
19 児童・生徒の日常生活にかかわる「きまり」「校則」について、「子どもの権利条約」の観点から総点検し、その改変に取り組むように、教職員に呼びかけること。その場合子どもたちの意見を取り入れる道筋を考えることを指摘すること。
R今後も必要に応じて「きまり」「校則」の見直しが行われるよう指導していきます。
1 学校栄養職員を他市町村と同様に市費職員を含め、各校に専任で1名ずつ配置し、学校栄養職員1名による2校勤務を中止すること。
@学校栄養職員の定数は,法律の規定により県教育委員会が定めることとなっており,県からの配当定数を超えた配置は困難です。
2 現在実施されている小学校給食の安全の確保と内容の充実のために、調理員を正規職員で、100食を基準に多くて120食に1人の調理員を配置すること。
A横浜市においては,調理作業の効率化等を踏まえ,本市の実情に合った独自の基準を設けて学校給食調理員を配置しているところです。
3 学校給食は、単に栄養価のある昼食の提供にあるのではなく、食文化の問題として、給食の献立はもちろんのこと、食事作法、雰囲気などあたたかい友達関係のもとで、みんなで食事をするということから、ランチルームなどの条件をつくること。
B各学校におけるスペース等の実情を考慮しながら,検討していきます。
4 学校給食法の趣旨を積極的に受けとめ、中学校給食実現のために、「中学校給食実現プロジクトチーム(仮称)」を教育委員会内につくり、直営自校方式による完全学校給食を中学校で実現するよに努力すること。
5 中学校における牛乳給食を直ちに始めること。
6 中学校ではたまたま弁当を持ってこられない生徒ではなく、常時持ってこられない生徒たちのために、食事における差別をなくし、平等な関係のなかで生徒たちがすごせるように、日夜努力しています。食事の問題は、人と人との信頼関係を回復し、「いじめ」などをなくす大切な感情教育なので、市教委として当然の職務として、中学校給食を試行的にでも実現させることを要求するものです。少なくとも牛乳給食ついては、県内他 市町村並みに横浜市でも即時実施し、神奈川県の中学校給食の実施率を100%とすること。
CDE横浜市の中学校では,家庭からの弁当持参とともに,業者による弁当販売を実施しでおり,平成13年度末で,市内67校の中学校で実施しています。
実施している学校においては,希望する生徒が安心して弁当を購入できることや,業者弁当の利用で生徒にとって昼食の選択肢がひろがること,生徒や保護者の利便性が向上したことなどが好評で,今後,全校への拡大に向け取り組んでいきます。
7 現在、中学校にパンの自販機をおいてあるところは、教育の問題として理解納得できるものではないので、早急に撤去すること。どうしても弁当を持ってこられない生徒のた めには、当面の問題として、教育的な配慮によりパンや弁当の自販機以外の方法を各校 ごとに工夫し、業者と相談することなども含め、遺漏ないようにすること。そのような学校には期間を決めて、完全学校給食の実施に踏み切ること。
F自動販売機は,日.によって弁当を持参できない生徒への対応策として設置していました。現在では,13年度末で市内67校の中学校において,業者による弁当販売を実施しています。
8 給食室の改善にとりくみ、ドライシステム方式に切り替えているようですが、そのテンポをあげ、各校の改善予定年度について通知すること。また、エアコンを設置し、調理員の健康を守ること。
G老朽化した給食室については,平成10年度からはドライシステムでの再整備を順次進めています。
9 二階以上の各教室への配膳の安全を確保するため、ワゴンを使用し、全校にリフトをつけること。特に、校舎改築にあたってはリフトを必ず設置すること。
Hリフトの設置については,考えていません。なお,校舎改築時には,エレベーターを設置しています。
10 給食会による一括購入方式を再検討し、各校ごとの食材の購入をすすめるために学校栄養職員を各校に配置することを急ぐこと。
11 食材の運搬費を給食費に含めて保護者負担としているため、横浜の学校給食の食材費は 他都市に比較して肉類を中心に異常に高くなっています。一括購入では、保護者負担の給食費をすべて食材費にまわすように、運搬費等は、公費負担とすること。
その6 子どもたちの放課後を豊かにするために他の部局とも協力すること。
1 市教委として、子どもたちの放課後の生活まで責任をもって、文化的施設、運動的施設を各所に設置し、子どもたちが、いつでも楽しく遊べるようにすること。
2 児童館をつくらないという、かたくなな市政の方針を根本的に改め、他市町村と同様に子どもたちが専門に使用できる児童館を建設すること。そこに専門の指導員を配置し、 学童保育所も併設すること。
3 市当局は、児童館にかわるものとして地区センターをあげていますが、その目的も違うし、利用者が多いため、子どもたちが自由に使えれない状況です。幼児用以外のところは、幼児をつれた母親たちさえ、まわりの利用者を気兼ねして大きな声を出すことや遊 ばせることも十分にできず、まして小学生になると読書以外はほとんど使えないのが現実です。「地区センターが利用できる」という市当局の毎年の回答は責任のがれの、現実に即さない回答といわざるをえません。全地区センターの現実をよく調査して、子ど もたちの利用の状況を報告すること。
4 現在、小学生のために市民局の扱いの「学童保育所」と市教委の扱いの「はまっ子ふれあいスクール」と同傾向の二つがあり、学童保育所は施設の確保に苦労している一方、後からできた「はまっ子ふれあいスクール」は学校を使用しています。これは、不公平不平等につながるので、開かれた学校の立場からも、学童保育所にも学校施設の使用を進めたり、敷地内に学童保育所を新設したりなどして、子どもの生活を保障すること。
5夏期休業中のプールの開放は中学校で行っているが、プールが深いので、低学年等には不適なので、小学校のプールも開放し、低学年の児童の期待に応えること。
3.教職員が健康で生き生きと教育活動に専念できるように条件を整備すること。
1.教職員の賃金・勤務時間等の問題
1,臨時時的任用職員(臨任職員)や非常勤講師の賃金等、労働条件を改善していくこと。途中採用の多い臨任職員は、通勤手当などが支給されず、自費で通勤するという不利益をうけているので、実質勤務日で計算し、通勤手当等を全額支給し、その不利益をなくす こと。
2 採用試験が毎年7月半ばのため、学期末の成績処理の時期と重なり、現職の臨任職員や 非常勤講師はまじめに教育活動に取り組んでいるため、受験準備もできず受験するという不利な条件になっています。臨任職員や非常勤講師で現職にある人で、正規採用を希望する人については、地公法22条6項に違反しない方法で勤務実績を反映させるなどの工夫すること。また、採用試験の時期について工夫すること。
3 教職員の勤務時間は、「教職員の労働条件であると同時に子どもたちにとっての教育条件である」という立場に立って、教職員は休息時間・休憩時間がとれない実態であることを認識して、今回の勤務時間の「規程」は撤回すること。その決定までの間、その規定にかかわらず、勤務態様について、各学校での判断に任せること。
4 「規定」を撤回しないならば、午前、午後の休息時間と昼の休憩時間が労働基準法どおりにとれるようにすること。
5 教職員には、教材研究や授業に必要な準備のために膨大な時間が必要であり、その時間 は本来、勤務時間内に確保すべきです。今回の勤務時間に関する規程では、これらの教職員の本来確保されるべき時間がないので、横浜市教育委員会は、教職員に教材研究等の時間を確保できるように配慮すること。
6 教職員の勤務時間は長時間連続勤務であり、休憩・休息時間を保障するできないことを認識し、「規程」の撤廃を前提に、勤務時間に柔軟性をもたせること。
7 「規定」撤廃にかかわりなく、教職員の休憩・休息時間のための施設・設備を整備すること。
8 今回の問題は、一部横浜市会議員の発言から始まっていますが、これからもあり得るこの種の発言については、教育の条理に従った回答を市教委は責任をもって行い、説得に努めること。
G教育委員会としては,コメントする立場にはありません。
9 測定可能な超過勤務に対しては、労働基準法36、37条の適用を復活させ、時間外手当の支給をすること。法的に不可能な場合は、別途支給できる方法を検討すること。
10 教職員の休日にあたる土曜(午後・第2・4土)、日曜、祝日の部活動については、県より特殊勤務手当が一部支給されています(現行は県費で一日750円、特定の大会へ の引率一日2100円)が、その増額を県に働きかけると同時に社会的妥当な金額を市 費で補充して支給すること。当面、公式戦等の引率には、少なくとも1時間につき10 00円の謝金を支給すること。
11 修学旅行など宿泊行事の付き添いは、全日勤務になるので、社会的に妥当な謝金を市費 で支給する方法を検討すること。
12 小学校の宿泊行事には、教職員数の不足から他学年から応援の教職員が参加することが 常態となっています。そのため応援教職員の学級が結果的に自習時間が多くなったり、教職員が回復措置をとらずに良心的に自習時間を少なくしようとしたりしています。こ のように子ども・教職員に負担をかけないように、行事には市教委の責任で指導員を必 ずつけて解決すること。
K市費負担でご要望の趣旨の人員を配置することは困難です。
2.「子どもたちを主人公に!」のための人事の民主化を。
1 毎年数千人の教職員の異動人事があるということは異常な状態と考えられます。異動させれば学校が活性化するという単純な考え方を排して、教職員が十分に責任のある教育活動ができように、この期限を廃止していくべきだと考えます。「希望と承諾」の原則 の上に立ち、一校の在任期間の制限を廃止していくことを前提に、少なくとも、以前のように15年までに延長すべきです。また、本人の希望により学区内・同区内異動を認 めること。現在のいくつかの学校の荒れの責任の一つはこうした人事に問題があり、行政側に責任があるといって過言でありません。「いじめ」や不登校、「新たな荒れ」問 題が、このような多数の異動によって学校に落ち着かない情況を毎年つくりだしている ことから起きると考えられます。つまり、1校の在任期間を10年を最高にするとしているため、平均6〜7年で異動するということになり、横浜市の教職員は4年間でほぼ 全員が異動するという状況をつくりだしているからです。
2 校長の在任期間も非常に短く、3年以下になっています。教育は、命令で行なわれるものではなく、教職員が互いの協同に基づき、自由と人権が保障されているもとで、自主的な全人格的な判断がなされるなかで実践されるものです。その場合、校長の位置は重要です。校長と教職員が対等な立場で協同して学校運営に当たっていけるようなリーダーシップをもった人格の校長が要請されています。したがって、校長は学校に密着した学校づくりに努力する必要があり、そのために、校長の在任期間を長くし、教職員と協同していけるようにすることです。
A校長については,学校事情を考慮して異動を行っています。
3 各校での研修のための予算を新しく位置づけ、各校に学校裁量で支出できる研修活動費 (研修会講師料・資料収集等旅費等)を配当し、教職員が有効な研修ができるようにすること。市長部局に教育は金がかかるものだという認識の変更を迫るような、積極的な予算要求をすること。
4 異動人事に当たっては、希望と承諾の原則を尊重し、通勤距離60分以内を厳守し、その他保育等について配慮すること。
5 異動については、教職員が次年度の準備ができるように、第一次紹介を2月初旬に行い3月上旬には原則的にすべてを終了させることを条件として実施すること。
6 現在の異動方法であっても、長期在職でも、54歳以上の教職員は異動を強要しないこと。
7 養護学校の教職員の場合、転任希望カードへの希望記入は3校までとすること。
8 前記2に関連して、管理職の登用に当たっては、各学校の中心となって、常に教育活動の先頭に立ち、教職員・保護者市民の意見を聞いて、協同の立場がとれる教育哲学をもった人であることを基準とすること。また、現行の管理職登用基準を全教職員に配布して、管理職のありようを教職員全員が検討できるようにすること。当然、情実のはいる ことのないようにすること。
9 現在の副校長の勤務実態は午前7時前後から午後7時以上というのが常態という長時間 勤務になっています。出張の多い校長の職務を代行していることもあり、その無権利状態は甚だしいものがあります。このような無権利では、教職員・子どもの権利についての意識が弱まります。校長は、出張を極力少なくし、校長としての本務を遂行し、副校長の仕事の軽減をはかり、副校長は、授業をもつなどして子どもたちとの関係を深め、教育的力量・識見を発揮して、校長とともに教職員の協同・連帯に寄与し、学校づくりの中心として各校の教育の向上にはかるようにすべきです。その立場から副校長の勤務 時間の短縮をはかること。
10 一般教職員の日常の教育活動への努力を認め、定年退職に当たって、昇任退職制度を設 けることを検討すること。
I退職にあたっての昇任制度は考えていません。
11 退職者に対する、現在行っている再就職の紹介等は、退職者全員に平等に知らせ、その 生活の保障をすること。
J再就職先の紹介等については,今後とも検討していきます。
12 年金支給年齢の引き上げに伴い、退職者の退職後の生活を保障するために、教職員への 再任用制度を新設すること。その制度は、市教委として退職者を65歳を限度に非常職 員として採用し、各学校に1名以上を必ず配置するものです。その職務は各学校の要請 により、教科指導、図書館指導、授業準備作業、保険活動補助、学校事務補助などを行うもので、国、県の動向を見ているだけでなく、緊急課題として研究を始めること。
K定年退職者の再雇用については,新再任用制度で行っていきます。
3.教職員が健康で元気に教育活動に参加できるように、教職員の健康と安全を守ること。
1 横浜市教育委員会は、教職員の健康と安全を守る立場から、労働安全衛生法に基づいた 要綱をつくりました。それを実のあるものとするために、各学校における衛生委員会の活動が期待されます。衛生委員会の望ましい活動のために、だれもが衛生管理者になれるように、その資格をとれるための研修講座を設けること。
2 労働安全衛生法に基づいて、各校衛生委員会に産業医を配置すること。それまでの間、横浜市立学校職員衛生委員会の産業医を各校を巡回させ、各校の衛生委員会と懇談・意見の聴取をすること。また、独自に各校の実態を調査し、その報告書を各校に配付し、職場環境整備の市教委の責任を明確にさせること。
3 労働安全衛生法に基づいた教職員の健康管理の充実のために、当面、教職員の一日検診 を30歳から毎年受けられるように見直しをすること。また、その検診項目に、超音波による検査、腰痛、更年期障害、嗄声の検査などを加えて、その充実をはかること。女子職員には子宮体ガンの検診を加えること。
4 障害児教育に携わる全教職員を対象に腰痛検査を労働安全衛生法に基づいて実施するこ と。
5 人間ドックを希望者全員が受けられるように、公立学校共済組合神奈川県支部に教職員 の健康を守るために強力に要請すること。あわせて、補助金の拡大をはかること
D公立学校共済組合神奈川県支部の所管事務となっています。
6 一日検診・人間ドックと関係させてレントゲン撮影を実施するようになったので、間違 っても児童・生徒に肺結核等の感染をさせないために、その意味を教職員に徹底させ、期間内に全員が受けられるように条件整備をし、各校が計画的に実施できるようにする こと。また、未実施がないように、点検を確実にすること。また、検診等の内容や病院 側の受け入れ態勢等について、教職員の要望を調査して、その改善をはかること。
7 全小学校と養護学校の女性教員の妊娠時授業軽減措置の代替を対象者1名につき1名を 配置すること。盲・ろう・養護学校・障害児学級についてはその職務の実態に応じた時間数を拡大すること。県が措置するまでの間、市の責任で配置すること。
8 厚生活動は、本来雇用者責任でなされるべですが、それがあいまいにされています。その責任において教職員の希望を調査してその充実をはかること。
G厚生活動については,引き続き研究していきます。
9 永年勤続者のリフレッシュ休暇について、永年勤続者職免に加えて、県の「リフレッシュ休暇実施要領準則」を適用させること。また、必ず代替者を配置し、安心してリフレッシュできるようにすること。取得期間を1年間とし、余裕をもってとれるように至急改善すること。
H現行の制度でご理解ください。
10 永年勤続者に対する記念品は、各自が将来にわたって記念として維持できるように、記念品購入代金の金額を引き上げ、選択できる品数を増やすこと。
I記念品の性格上,これ以上の拡大は困難です。
11 退職者の辞令交付式において、退職者に対して相変わらず敬称なしで名前を呼んでいる が、礼を失していると考えるので、「さん」の敬称をつけて呼ぶこと。
4.人権と生き生きした教育活動を保障するために、管理主義的な教職員管理をやめること。
1 「卒業式・入学式における国旗・国歌に対する対応シート」(1999年12月3日に校長に配布したもの)は、「校長が自らの指導を振り返るために配布した」という回答なので、その役目は終了したし、内容には校長の権限を逸脱したものがあるので、回収し、破棄すること。
2 教職員の管理体制につながる学校管理規則を撤廃すること。
3 勤務評定は、管理主義に基づくものであり、教職員の創造的な活動を期待する学校教育活動には不適なものなので、廃止すること。国連の「子どもの権利委員会」の子どもの権利条約にかかわる勧告の大事な一つは、競争主義教育・管理主義教育の改善であるので、勤務評定は教職員をこの競争主義教育、管理主義教育にかりたてることにつながることなので、直ちに廃棄すること。
4 教職員の啓発は職場の民主化の中で、相互の自由な討議によってなされるべきであり、 勤務評定に各個人が自己啓発などを内密に書き、校長が一対一での指導を最重点にすることは、各職場の連帯と共同の感情を否定することにつながり、上意下達の教育を志向することとなり、学校教育に大きなマイナス条件をつくりだすので、これから実施しようとする勤務評定は破棄すること。