人事評価の段階評価 やっぱりこんなものいらない! |
神奈川県教委が作成した「教職員の新たな人事評価システム 評価者研修テキスト」などにもとに人事評価の段階評価の問題点を衝く!! 県教委は、2003年4月からの人事評価システムを導入し、市町村教委などの任命権者研修を行い、また、評価者(校長、教頭など)研修を行っています。 その評価者研修で使われている県教委作成の「研修テキスト」等を見ながら、人事評価システムの問題点、とりわけ段階評価の問題点を見てみましょう。(青字は県教委文書より) |
1、あいまいな絶対評価の基準 校長(観察指導者)、副校長(助言指導者)が、私たち教職員を評価するのは下記の 5段階絶対評価であり、その基準も次のように示されています。
S・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を大幅に上回っている
A・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を上回っている
B・・・職務を遂行する上で通常必要な水準をほぼ満たしている
C・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしておらず、努力が必要
D・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしておらず、かなりの努力が必要
(「教職員の新たな人事評価システム ハンドブック」県教委発行《5月9日配付》
のP5より)
ところが「教職員の新たな人事評価システム 評価者(注 校長、副校長のこと)研修テキスト」の質疑応答では
問23 一つひとつの職務行動における「B」評価と「A」評価の違いはどこか。
(答)実際の評価事実(職務行動)について、「評価に当たっての着眼点及び職務を遂
行する上で通常必要な水準(行動例)」に照らし、「B」水準がどの程度のものか
を理解していただいた上で、それを上回る度合いを勘案して、標準を大きく上回る
場合には「A」と判定してください。
(答)学校の抱える課題の解決や学校目標の達成に当たって、きわだって大きな効果の
あった取組などが、「S」に相当すると考えられます。
となっているのです。これはおかしいことがすぐわかります。
つまり、問23の答のなかの「A」は「ハンドブック」の「S」の基準に当たり、問24 の答のなかの「S」はきわだってというのですから、「ハンドブック」の「S」よりさ
らに上位の基準を示しているのです。「言葉のチョットした違い」だと済ませてしまう
ことはできません。これは段階評価を決める基準の文言なのですから。だとすれば、県
教委も段階評価についての明確な基準を示すことができないことを自ら証明しているこ
とになります。
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2、判定資料が足らなかったら「B」でよい? 〜県教委は私たちをバカにするにもほどがあります!! 「評価者研修テキストの質疑応答」では 問30 教職員数が多くかつ業務が多忙な大規模校では、授業観察や職務行動の把握 が不十分なまま教職員を評価することが想定されるが、こうした場合の評価 はどのように行なうのか。 (答)学校によっては、教職員数が多いなどの事情で、授業観察や仕事ぶりの把握がな かなか難しい場合もあると思われますが、年間を通じて職務行動の把握に努めるこ とが必要です。 しかし、結果として、ある職務分類や評価項目について、特筆すべき取組が特に 認められなかったり、段階を判定するに足りる事実把握ができなかったという場合 には、標準を下回る、あるいは上回る顕著な職務行動が認められなかったという意 味で、年間を通じて水準を満たしていたと判断し、段階の判定を「B」とします。
「職務を遂行する上で通常必要な水準をほぼ満たしている」という「B」評価にし ていいんですか。もしもその教職員が、管理職の知らないところで頑張っていても 「B」になる。・・・それが賃金に活用される。・・・冗談じゃありません!! ここでも、どうやっても段階評価に無理があることは明らかです。 |
3、絶対評価を自ら突き崩す県教委 「評価者研修テキスト」のP45に 校長が観察指導者として行なった(教職員の)評価の結果について、公正かつ客観 的な評価の確保の観点から、所管教育委員会の教育長が当該校長に対して、評価を再 考するよう求めることがあります。 評価の再考を求めるのは、次のようなケ−スが予想されます。 1全職員に対する一律の同一評価 2職員全体の評価が他の学校と比較して著しく均衡を欠く場合 (例:S、A、B、C、Dの評価段階の平均が、同一校種の他の学校の平均と1段階以上離れている場合)
3 S又はDの評価が多く、他の学校と比較して著しく均衡を欠く場合 4 その他、明らかに誤った評価や、上記に準じるような不適切と思われる評価が なされている場合
という記述があります。これは、S、A、B、C、D5段階絶対評価を県教委
自らが突き崩すものに他なりません。どうしても相対評価に近づけて、賃金処遇に活
用したい彼らの衝動が見て取れます。
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4、あいまいな段階評価で、人事・給与上の処遇への活用は、できるのか! 4月当初に全教職員に配付された「教職員の新たな人事評価システムのあらまし」(県 教育庁管理部教職員課発行)では最後のP7で「評価結果については、教職員の資質能 力や意欲の向上を図り、また、能力と実績に応じた公正な処遇を行うため、研修等の人 材育成や適材適所の人事配置に活用していくとともに、評価結果を蓄積して人事・給与 上の処遇へも活用していきます。」 |
5、苦情処理のシステムのおかしさ 「教職員の新たな人事評価システム ハンドブック」P26に、「苦情対応の仕組みの 概要」だ提示されています。問題なのは、苦情は校長の段階評価についてのみ認める としていることです。副校長による助言指導記録(文章で記載)と段階評価に対する 苦情はなぜ認めていないのでしょうか。 |
6 自己評価3段階は、段階評価の問題点を 薄めることができるのか A、B、C の3段階自己評価の基準は A・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を十分満たしている(評価者による評価のAまたはSに相当) B・・・職務を遂行する上で通常必要な水準をほぼ満たしている(評価者による評価のBに相当)) C・・・職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしていない ((評価者による評価のCまたはDに相当) 上記「ハンドブック」P23)と提示されて います。自己評価と評価者による評価があたかも連動するかのような記述です。 ところが、そのすぐ前の箇所に「自己評価と評価者の評価は、直接関係しません」と 明記されているのです。自己評価が段階評価の毒を薄める保障などないのです。 そもそも、できるはずがない、と反対してきた段階評価を神奈川県教組執行部の方から交渉の場で持ち出して、合意の内容に入れてしまったことが重大で、今後の人事評価反対の闘い に大きな禍根を残すことになってしまったのです。
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7、段階評価を骨抜きにしていく手立てはない
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1 以上の1235の内容で、県教委を追い詰めていくことが、どうしても 必要です。段階評価がもともと公正にできないものであること、また意図するしない に拘らず、恣意的にならざるを得ないことなど管理職とも協同して追及していきまし ょう。これがどれだけ大きな声になるかが決定的に重要です。 2 記述式評価は活用のしかたでは有効であることや自己研修の重要さについては認める ことも同時にアピ−ルしていきましょう。 3 自己評価を記入しない自由など、段階評価に自ら加担しないことも重要な闘いです。
無記入にした人が不利益にならないようにすべきです。 不利益をうけない根拠として、「評価者研修テキストの質疑応答」に 問10 自己目標設定をしない職員がいた場合、職務命令を発しても書かせるべきか
の(答)として 「職務命令を発してまで書かせる必要はありません」と記載されていることからも わかるように、県教委はこのシステムを何がなんでも実施要領どおり強制実施する わけではないという姿勢を見せているからです。彼らも矛盾を抱え込んだまま実施 に移ろうとしているのです。ここを突破口に段階評価全体を形骸化、空洞化してい く闘いをすすめて行きましょう。
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