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教育基本法「第十条(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
 2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」と述べています。
 これに照らして、この質問と答弁は、「不当な支配に服する」ことにならないのでしょうか。

神奈川県議会9月定例会

教育問題での小島健一県議(自民・青葉区選出)の一般質問と答弁

2004928日 本会議
この質問と答弁は県議会のインターネット中継をもとにして、文章に起こしたものです。
−横浜教職員の会



教育問題での小島健一県議の一般質問と答弁(インターネット中継)

小島健一県議(自民・横浜市青葉区選出)

 質問の第2として、教育問題についてお伺いしたいと思います。

 先日、アテネオリンピックが開催され、日本は数々の輝かしい結果を残したわけでありますが、その直前に、中国においてサッカーのアジアカップが行われたことはまだ記憶に新しいことと思います。重慶・西南・北京というすべての試合場において、しかも開会式という厳粛な場面で、日本の国歌斉唱がブーイングという下劣な方法で、中国人サポーターにより妨害を受けました。さらに試合中も観客席の日本人サポーターまでもが、スポーツマン精神にかけた、度を越えた嫌がらせを受けました。そしてついには、試合場の外でも、日本の国旗が焼かれ、公使の車が襲撃されるなど、およそ今の日本ではありえない蛮行が繰り広げられました。しかし、中国政府は、これをほんの一部の人たちの過激な行為だとして、国内ではたいした報道もせず、逆に日本における報道を過剰反応であるとの姿勢を貫きました。今回の騒動は、普通の日本人なら、どんなに中国に贖罪意識を持った人でも、彼らのあからさまな非礼、且つ侮辱的行為を見て、少なからず不快感を覚えたのではないかと思います。私も、すべての試合を腹立たしく見ていましたが、同時に今回の事件で、行き過ぎた愛国教育の成果というべきものを、中国を反面教師として学んだ気がしました。最も、サッカー場でこれだけの罵倒を受けても、今回の騒動はそれほど過大視することではなく、むしろどうして日本が標的として扱われやすいのかを考えるべきだと、真面目に論述する日本のマスコミが今なおあることを考えれば、むしろ日本においてはまだまだ愛国教育が足りないのではと、実感したのも事実であります。

 さて、ご存知のように日本の小・中・高の学習指導要領には、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると定められています。県教育委員会の調査では、昨年度も、県内小中学校において、掲揚・斉唱とも100%実施されているとのことでありましたが、去る65日の産経新聞によると、ある市民団体のメンバーが各学校に赴き、実態調査をしたところ、必ずしもそうではなかったという結果が得られたということでした。報道によれば、実地調査をした小中学校併せて111校のうち、テープを流しただけで実際には斉唱していない小中学校が7校もあり、そのほか、小学校2校と中学校1校では、教職員が斉唱時に起立しないなど、不適切な行動もあったとのことでした。

そこで、これらの事実を踏まえてまず教育長にお伺いいたします。卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱の実施状況について、県教育委員会の認識と実際の実施状況とでは大きく相違が見られるわけでありますが、この点についてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。

次に、昨年11月、東京都においては、私の尊敬する石原東京都知事の下で、これもまた私が現在全国の教育長の中で最も尊敬する横山洋吉教育長が、入学式・卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についてという通達を出しました。そこには、国旗を壇上正面に掲げる、式次第には国歌斉唱と記載する、国歌は起立して斉唱するなどが明記されており、東京都においてはその通達が出されたことが、特定のイデオロギーを教育に持ち込み、国旗・国歌を否定する勢力から入学式・卒業式を守り、厳粛な式典を実施するための大変大きな力となりました。この通達のもう1つの特徴は、教職員が本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われることを明記した点であります。実際、この通達に基づき、東京都は多数の教職員の処分を行いました。これについては、内心の自由を盾に都教組などから激しい抗議もあるようですが、教職員の服務上の責任を問われたことは、地方公務員法などからも当然のことであると、私には思われます。実は、神奈川県においても、教育長名で昨年12月に各県立学校長宛てで、入学式及び卒業式における国旗の掲揚及び国歌の斉唱の指導の徹底についてという同様の内容の通知が出されました。このことは、非常に評価すべきものと私は思っておりますが、結果的に県内では必ずしも100%実施されてはおらず、不適切な事例も多々あったのが実情であります。

私は、神奈川県においても来年の卒業式・入学式に向けて、各市町村教育委員会への指導は当然として、国旗掲揚・国歌斉唱については東京都と同様の毅然とした対応と式後の実態調査、そして職務命令に従わなかった場合の教職員の処分等の必要性を感じておりますが、この点について教育長はどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。

次に、県がこれまで様々な形で支援を行ってきた神奈川の教育を推進する県民会議についてお伺いいたします。神奈川の教育を推進する県民会議、以下県民会議といたしますが、それは長州県政時代に発足した組織であり、県内の幅広い分野の民間団体が相互に連絡・調整を図りながら、学校・過程・地域社会がそれぞれ連携を密にし、神奈川の子どもたちのために明るい教育環境の創造をめざすという共通の理念のもとに一体となって教育運動を推進している任意団体であると伺っております。県は、この団体に対して平成14年は1,800万円余り、平成15年は1,700万円余りの補助金を交付し、今年度も1,700万円程度の多額の補助金を交付する見込とのことでありますが、現在の厳しい県財政を鑑みたうえで、果たしてその金額に見合うだけの成果がこれまで本当に生み出されてきたのか、県としてしっかりと把握しなければならないと私は思います。当然ながら、多額の補助金が交付されるわけですから、特定のイデオロギーのもとに、県民会議自体が活動・研究、さらには別の団体の後援をすることはあってはならないと考えます。しかし、実際には子どもたちの明るい教育環境の創造をめざす一環として神奈川県教職員組合が主催する神奈川県教育研修集会、いわゆる教研集会の後援を今まで積極的に行ってきている事実があります。県民会議を構成する団体の中には、県民会議がその教研集会を後援していることすらまったく知らない名ばかりの参加団体もあったようですが、いずれにしろ私にはこの教研集会というものが県民の立場から見て子どもたちの明るい教育環境の創造に寄与するとは到底思えないのであります。現在、県民会議は、県内の59団体によって構成されておりますが、その役員構成、企画運営、広報委員会などの主要なポストの人選、そして実際の活動内容を見れば、神奈川県教職員組合が県民会議の主導的役割を担っていることは明らかなように思われます。これはまさに、県民からすれば、県教育委員会と教職員組合の癒着であると指摘されかねない状態であると思うわけであります。文部科学省のデータによると、現在、神奈川県は児童・生徒の暴力行為、いじめ、不登校ともに、全国ワースト3にはいるという不名誉な状況にあります。還元すれば、神奈川の教育の現状は危機的状況にあるといっても過言ではないはずであります。私は、学力向上、道徳教育、暴力、不登校などの問題行動の撲滅こそが県民の最大の関心事であると思うのですが、これまで県民会議がこれらの問題解決の先頭に立って功績を上げてきたようには私には到底思えないのであります。22年前、ふれあい教育を合言葉につくられた県民会議ですが、教育を取り巻く環境は、いま大きく変化してきております。何よりも今すぐ神奈川の教育に必要なことは、馴れ合いではなく、真の教育改革であるはずなのであります。

そこで知事にお伺いいたします。神奈川の教育を変な方向に推進する県民会議よりも、神奈川の教育をいまこそ改革する県民会議こそが必要であると思いますが、今後、この県民会議への運営費補助金交付については、どのような考えに基づいて対処していくつもりなのか、ご所見をお伺いいたします。

松沢知事

 次に、神奈川の教育を推進する県民会議への運営費補助金交付についてどのような考えにもとづいて対処していくのかというお尋ねがありました。お話にありました県民会議は、昭和57年発足当初より、県内の幅広い分野の団体が構成員となり、県民主体の教育論議や実践活動に取り組んできております。特に平成7年度には、いじめ問題に関する教育論議を県内約200箇所で、延べ約15,000人の参加を得て実施しており、また、平成8年度からは子どもたち自身が企画・運営する神奈川ふれあい子どもサミットを開催しております。さらに、論議を集約する場として、例年、年度末に神奈川の教育を考える県民の集いを開催し、広く県民の方々に成果を発表しております。県といたしましては、こうした県民会議の運営を支えるために、事務局に対して運営費を補助しているところでございます。しかしながら、発足20年余が経過し、複雑化・多様化する教育問題に対する教育論議がキチンと行われているのか、あるいは構成団体全体を巻き込んだ活動や論議が展開されているのか、さらには論議の成果が県民の方々や構成団体に浸透しているのかといった課題があると考えております。現在、この県民会議を所管しております教育委員会で、こうした課題を踏まえ、より多くの多様な団体が参加し、県民の方々の主体的な教育論議や実践活動が展開されるよう、県民会議の事務局のあり方等も含め検討を行っているとの報告を受けております。なお、教職員組合との関係についてのご指摘がございましたが、広く県民の方々に教育に関する論議を進めていただくことが何よりも大切でございますので、特定の団体のみが活動しているとの誤解があってはならないと考えております。子どもたちを巡る様々な課題を解決していくためには、行政や学校だけでなく、多くの県民の方々の協力が欠かせないものと考えておりまして、幅広い分野の団体や県民の方々が参加し、教育課題に付いて論議を行い、主体的に取り組んでいただくことが是非とも必要であると思っております。私は、県民会議につきましても、こうした方向で論議の活性化を図っていただきたいと思っておりますし、事務局運営費を補助している県として、その取組状況等をキチンと検証しながら、今後の支援のあり方について検討していく必要があると考えております。

曽根教育長

 教育関係について、お答えをいたします。まず、小中学校の卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱の実施状況に関してのお尋ねでございます。国旗掲揚・国歌斉唱につきましては、これまでも毎年、国旗・国歌の意義を踏まえ、学習指導要領に基づき適切な実施が図られるよう通知するとともに、市町村教育委員会の教育長や指導課長を集めた会議などにおきまして、指導を行ってきております。その結果、実施につきましてはほぼ100%となっておりまして、平成15年度につきましては、各市町村教育委員会から、すべての小中学校で国旗掲揚・国歌斉唱が実施されたとの回答を受けております。しかしながら、実施の内容につきましては、まだまだ十分でないところも在ると考えており、ご指摘の新聞に記載されました状況につきましても改めて確認したところ、一部の学校では式次第が会場に掲示されていなかった、あるいは教員の一部が起立しなかったなどの事実がございました。そこで、当該教育委員会に問題点を指摘するとともに、適切な内容で実施されるよう改めて指導の徹底を図ったところでございます。今後は、学習し指導要領に基づき、入学式・卒業式においては、厳粛且つ清新な雰囲気の中で、国旗・国歌の意義を理解させ、尊重する態度を育てていくことができるよう県教育委員会としての考え方をより明確に示すとともに、個別指導も視野に入れながら、市町村教育委員会を指導してまいります。

 次に、国旗掲揚・国歌斉唱について、東京都と同様の毅然とした対応を取るべきであるとのお尋ねがございました。東京都では、昨年10月に都立学校に対し、通達を出したところでありますが、お話にありましたように本県でも県立学校に対しまして、昨年12月に通知を出すなど、入学式や卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱につきまして、学習指導要領の趣旨に則って式を実施するよう指導を行ったところであります。また、実施状況につきましても、式の当日、校長から直接報告を受けるとともに、後日、文書による報告を求め、把握をしてきたところであり、国旗の式場正面への掲揚、国歌斉唱の実施や式次第に位置付けることにつきましては、すでにすべての県立学校で実施をしているところでございます。しかし、式には影響がなかったものの、一部、少数の教職員が起立しなかったという報告もございました。教職員につきましては、厳粛な儀式的行事にふさわしい態度や行動を生徒に理解させる立場であり、国歌斉唱時に起立することは当然求められるところでございますので、当該の教職員に対しては、すでに厳しく指導を行ったところであります。今後、各学校に対し、国歌斉唱時に起立することなども含めて厳粛に式を実施するよう改めて通知し、指導してまいりたいと考えております。また、厳正な処分とのお話がありましたが、式の混乱を招くような行動に対してはもちろんのこと、校長からの継続的な指導に従わない教職員につきましては、厳正に対処してまいります。さらに、市町村教育委員会に対しましても、このような県の考え方を伝え、適切な対応を行うよう強く指導して参りたいと考えております。

 

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