紙芝居『新・お国のための人づくり−許すな!教育基本法改悪−』
横浜教職員の会緑支部(緑区教職員の会)では、教育基本法の改悪をめぐる動きについて、保護者、市民にともに考えてもらおうと紙芝居『新・お国のための人づくり−許すな!教育基本法改悪−』を作成ました。
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紙芝居『新・お国のための人づくり−許すな!教育基本法改悪−』

横浜教職員の会緑支部では、教育基本法の改悪をめぐる動きについて、保護者、市民にともに考えてもらおうと紙芝居『新・お国のための人づくり−許すな!教育基本法改悪−』を作成ました。

@「京子さん、教育基本法見直し反対の署名してよ」

 「何よ、教育基本法って?」

 「えーっ、知らないの。子どもたちの教育の基本を決めてある大事な法律よ」

 「ふーん、あまりよく知らないわ」

A「それで、何で反対するのよ?」

 「それはね、愛国心とかそういうものを子どもたちに押しつけようとしているからよ」

 「でも、今の子どもって、わがままだし、だらしがないし、自分勝手でしょ。おまけに学力が低下してるっていわれているじゃない。少し教育を何とかしなければいけないんじゃないの」

 「そういうところも確かにあるけど、それは教育基本法を変えればよくなるってものじゃないのよ」

B「じゃあ、どうすればいいのよ」

 「それは今の40人学級を30人学級にすることなんかが大事なのよ」

 「それには賛成だけど本当にそれだけでいいのかしら。だいたい教育基本法ってどんなことが書いてあるの?」

 「それはこのパンフレットに書いてあるから読んでみてよ」

C『われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」

「へーっ、少し難しいけれどいいことが書いてあるじゃない」

 「そうでしょ、とても大事なことが書いてあるのよ」

 「それで、見直しするってどこを変えるっていうの」

 「うーんと、わたしも詳しいことがわからないから、よく知っている田中先生に聞いてみるわ」

D「田中先生、こんにちは。教育基本法について教えてほしいんですけど」

 「ああ、いいですよ。どんなことが知りたいんですか」

 「いま教育基本法が変えられようとしていますが、どこが変えられるんですか?」

 「まず基本的なことから説明しましょう。教育基本法はすぐに変えられるわけではありません。中央

  教育審議会、ふつうは中教審といっています。そこは文部科学大臣の諮問機関なんですが、そこが教育基本法を見直した方が良い、という答申を出したのです。この答申をもとにして政府が新しい教育基本法の法案を国会に出そうとしているのです。今の通常国会の内に提出して成立させてしまおうという動きのようです」

E「それで教育基本法のどこを変えようとしているのですか?」

 「根本から変えてしまおうということのようですね。中教審の答申には、『国家や社会の責任ある形成者として新しい時代を担う個人を育成する観点から…21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成』を目標にしたい、と書いてあります。わたしはこの『たくましい』という言葉がまず問題だと思いますよ。『たくましくない』人はだめだということでしょ。競争に勝ち残れる人はいいけれど、負けてあきらめる人はだめだということですよ。負ける人も包み込むのが教育の大切さではないでしょうか」

F「そのほかにはどんなことがありますか」

 「まず世の中の見方がおかしいんですよ。これからは国境を越えた大競争時代だ。それに対応する人材を育成することが必要だというんですね。そして日本人のアイデンティティー−伝統や文化の尊重、郷土や国を愛する心−を育てようというんですね」

 「そのどこがおかしいんですか」

 「まずこれからの世の中をどうしていくかという大きな理念がないんですよ。さきほどお読みになったパンフレットにあるように今の基本法には『民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した』と高い理想が書かれているわけです。この理想は56年後の現在でも立派に通用するものじゃありませんか」

G「愛国心についてはどうなんですか」

 「国を愛する心については全てに反対するものではありません。でもちょっと考えてみてください。『国を愛する心』というのは具体的にはどんなことですか?」

 「えーっ、難しいわねえ。例えば日本の自然の美しさを愛するとか、日本の文化を愛するとか…」

 「わたしは日本は好きですよ。四季があって、水も緑も豊かだし…」

 「人によって『国を愛する心』っていろいろなんですよ。もちろん、こんな国はきらいだという人もいますよ。いろいろあるけれど『国を愛する心』というのは自然に心の中に湧いてくるものではないですか。ほかの人から無理やり押しつけられるものではありません。難しくいえば『国を愛する心』を押しつけることは憲法19条の『思想・良心の自由』にも反します」

H「なるほど。でもなんで無理やり『国を愛する心』を押しつけようとしているんですか」

 「簡単に言えば、国のために尽くせ、自分を犠牲にしても国を大事にしろということではないですか。日本という国家が繁栄すればいいんだということじゃあないでしょうか」

 「ずいぶん自分勝手な考え方ですね」

 「そうです。今の基本法第一条では『教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者』として育成すると書かれています。ここには平和的な国家をつくっていくという目標がきちんと書かれているんですよ。わたし自身は憲法第9条を守ることが愛国心だと思いますね」

I「答申では平和のことは何と書いているんですか」

 「平和や民主主義についてはほとんど書かれていません。おかしなことですね。わたしは見直しのねらいは『新・お国のための人づくり』だと思います。戦争中は兵隊に行くこと、銃後の女性として国を守ることが大切だとされましたよね。それに代わって、今度は『二十一世紀の我が国を担う日本人、国際的な大競争時代に我が国の繁栄を支える人材になれ』ということですよ」

 「ずいぶん狭い考え方ですね。日本のことだけ考えているみたい。子どもの教育のことを考えているのではなく、本当に『お国のため』ですね。いったいどうしたらいいのかしら」

J「もうひとつ重大なことがあるので聞いてください。それは『施策を国民に分かりやすく示すという政府としての説明責任を果たすためにも、教育の根本法である教育基本法に根拠を置いた、教育振興に関する基本計画を策定する必要がある』として『教育振興基本計画』というものを教育基本法の中にもぐりこませようとしていることです。『教育振興基本計画』というのはその時の政府が5年程度の見通しで閣議で決めるものですが、それがそのまま教育基本法の中身になってしまうというペテンのようなものなのです。基本法というのは教育の根本を定めるもので、その時々で変わるようなものではないはずです。政府の考えを強制しようというねらいが見え見えですね」

K「これからどうしたらいいのかしら」

 「まず見直しの危ないねらいと内容を広く知らせることです。署名運動もいいですね。本当に子どものことを大切にしようとして運動している人はたくさんいます。30人学級実現の要求をはじめ、不登校や引きこもり、非行、学力問題などたくさんの悩みをかかえている人たちと『見直し反対』『子どもたちを本当に大切にする政策を実現しろ』という運動を強め、連帯することが大切ではないでしょうか」

 「わかりました。わたしたちももっともっとまわりの人たちに知らせていくわ。京子さんも署名運動を手伝ってよ」

 「わかったわ。わたしも協力するわ。さあ署名用紙をわたしにもちょうだい」

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